参院選で1票の格差がなかったら、議席数は自民−4、民主+1、公明・みんな+1.5:誠 Weekly Access Top10(2010年7月3日〜7月9日)
7月11日に行われた参議院選挙。比例区では民主党が第1党だったが、選挙区では自民党が第1党になるというねじれ現象が起こった。その1つの原因となっている「1票の格差」がなかったとしたら、選挙結果はどう変わっていたか計算してみた。
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1票の格差がなかったら参院選結果はどう変わるか計算してみた
7月11日に行われた参議院選挙では、与党の民主党が44議席しかとれず、51議席を獲得した自民党の後塵を拝する結果となった。しかし、選挙結果をよく見ると、おかしなことがある。選挙区では自民党が第1党なのに、比例区では民主党が第1党というねじれ現象が起きているのだ。
7月11日の参院選結果
自民 | 民主 | みんな | 公明 | 共産 | 社民 | 改革 | たち日 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
選挙区議席数 | 39 | 28 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 |
比例区議席数 | 12 | 16 | 7 | 6 | 3 | 2 | 1 | 1 |
合計議席数 | 51 | 44 | 10 | 9 | 3 | 2 | 1 | 1 |
比例区で民主党に入れた有権者が、選挙区では自民党候補に入れたという例はそれほどないはず。ねじれ現象の最大の原因は死票が出やすい1人区で自民党が21勝8敗と大きく勝ち越したことにあるのだが、もう1つ影響しているのが1票の格差。自民党は地方で強い傾向にあり、地方では1票の価値が高い都道府県が多いので、その恩恵を多く受けているのである。
では、各都道府県で1票の価値が同じだったらどうなるのか。誠に連載しているちきりんさんもTwitterで「一票=一票だったら、どういう結果になっていたのか、誰か計算してほしいよ」と問題提起をしていたので、実際に計算してみることにした。
どういう形で計算するか迷ったのだが、最も1票の価値が高い鳥取県の1票の価値を1と仮定して、他都道府県の1票の価値を算出。そして、各都道府県選挙区での各政党の獲得議席に1票の価値の逆数をかけ算して、“本来の”議席を計算することにした(各都道府県の有権者数は公示日の6月23日時点でのデータ)。
例えば、東京選挙区では民主党2議席、自民党1議席、公明党1議席、みんなの党1議席だったのだが、東京選挙区の1票の価値は鳥取選挙区の4.38分の1なので、“本来の”議席数を民主党8.76(2×4.38)議席、自民党4.38(1×4.38)議席、公明党4.38(1×4.38)議席、みんなの党4.38(1×4.38)議席と計算した。つまり、「東京都に同じ当選傾向の5人区が、4.38選挙区あったらどうなるか」という議論をすることになるので、ちょっと乱暴ではあるのだが、ある程度の目安をつかむことはできるだろう。
2010年6月23日(参院選公示日)時点での1票の格差
都道府県名 | 有権者数 | 選挙区定数 | 定数1当たりの有権者数 | 1票の価値 |
---|---|---|---|---|
北海道 | 4621118 | 2 | 2310559 | 0.211158425 |
青森県 | 1163331 | 1 | 1163331 | 0.419393964 |
岩手県 | 1111052 | 1 | 1111052 | 0.439127962 |
宮城県 | 1915501 | 2 | 957751 | 0.509416596 |
秋田県 | 930892 | 1 | 930892 | 0.524114505 |
山形県 | 970387 | 1 | 970387 | 0.50278291 |
福島県 | 1665411 | 2 | 832706 | 0.585914228 |
茨城県 | 2437052 | 2 | 1218526 | 0.400396873 |
栃木県 | 1637893 | 1 | 1637893 | 0.297879043 |
群馬県 | 1636130 | 1 | 1636130 | 0.298200021 |
埼玉県 | 5841781 | 3 | 1947260 | 0.250554069 |
千葉県 | 5071914 | 3 | 1690638 | 0.288585729 |
東京都 | 10695234 | 5 | 2139047 | 0.228089446 |
神奈川県 | 7328018 | 3 | 2442673 | 0.199737774 |
新潟県 | 1973685 | 2 | 986843 | 0.494399056 |
富山県 | 906829 | 1 | 906829 | 0.538022053 |
石川県 | 948960 | 1 | 948960 | 0.514135475 |
福井県 | 655964 | 1 | 655964 | 0.743781671 |
山梨県 | 705902 | 1 | 705902 | 0.691163929 |
長野県 | 1766697 | 2 | 883349 | 0.552323347 |
岐阜県 | 1694940 | 2 | 847470 | 0.575706515 |
静岡県 | 3090689 | 2 | 1545345 | 0.315718599 |
愛知県 | 5855247 | 3 | 1951749 | 0.24997784 |
三重県 | 1511013 | 1 | 1511013 | 0.322891994 |
滋賀県 | 1109884 | 1 | 1109884 | 0.439590083 |
京都府 | 2107617 | 2 | 1053809 | 0.462981652 |
大阪府 | 7123921 | 3 | 2374640 | 0.205460167 |
兵庫県 | 4561826 | 2 | 2280913 | 0.213902941 |
奈良県 | 1158267 | 1 | 1158267 | 0.421227575 |
和歌山県 | 851823 | 1 | 851823 | 0.57276453 |
鳥取県 | 487894 | 1 | 487894 | 1 |
島根県 | 596484 | 1 | 596484 | 0.817949853 |
岡山県 | 1583048 | 1 | 1583048 | 0.30819912 |
広島県 | 2334828 | 2 | 1167414 | 0.417927145 |
山口県 | 1214504 | 1 | 1214504 | 0.401722843 |
徳島県 | 661386 | 1 | 661386 | 0.737684197 |
香川県 | 833050 | 1 | 833050 | 0.585671928 |
愛媛県 | 1202881 | 1 | 1202881 | 0.405604544 |
高知県 | 643985 | 1 | 643985 | 0.757617025 |
福岡県 | 4117590 | 2 | 2058795 | 0.23698037 |
佐賀県 | 691531 | 1 | 691531 | 0.705527301 |
長崎県 | 1182908 | 1 | 1182908 | 0.412453039 |
熊本県 | 1495312 | 1 | 1495312 | 0.326282408 |
大分県 | 995250 | 1 | 995250 | 0.490222557 |
宮崎県 | 937791 | 1 | 937791 | 0.520258778 |
鹿児島県 | 1406105 | 1 | 1406105 | 0.346982622 |
沖縄県 | 1080383 | 1 | 1080383 | 0.451593555 |
こうして全国の選挙区の“本来の”議席数を再計算して合計すると、自民党102.9議席、民主党85.3議席、公明党13.2議席、みんなの党12.9議席となる。実際の選挙区の定数は73議席なので、“本来の”議席数の比率に従って73議席を分配すると、自民党35.1議席、民主党29.1議席、公明党4.5議席、みんなの党4.4議席と算出できる。
実際の選挙区の議席数は自民党39議席、民主党28議席、公明党3議席、みんなの党3議席だったので、自民党がマイナス4議席、民主党がプラス1議席、公明党とみんなの党がそれぞれプラス1.5議席ということになる。比例区との合計で民主党が第1党になることはさすがにないのだが、1票の格差の影響は小さくないと言えるだろう。ちきりんさんも別の形で検証しているので、参考にしていただきたい。
1票の格差がなかったらこういう結果に
自民 | 民主 | みんな | 公明 | 共産 | 社民 | 改革 | たち日 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
選挙区議席数 | 39 | 28 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 |
比例区議席数 | 12 | 16 | 7 | 6 | 3 | 2 | 1 | 1 |
合計議席数 | 51 | 44 | 10 | 9 | 3 | 2 | 1 | 1 |
“本来の”選挙区議席数 | 35.1 | 29.1 | 4.4 | 4.5 | 0 | 0 | 0 | 0 |
“本来の”合計議席数 | 47.1 | 45.1 | 11.4 | 10.5 | 3 | 2 | 1 | 1 |
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