お客さまを笑わせよう! 口も心も開くランチコンサルの秘密:郷好文の“うふふ”マーケティング(2/2 ページ)
起業家が投資家に食事をしながらプレゼンする“パワーランチ”のように、ランチはしばしばビジネスの舞台となる。そんな中、スーパーピーアール社長の蓮香尚文氏はランチ中にコンサルをする“ランチコンサル”を行っているという。それは一体どのようなものなのだろうか。
ダジャレパワー
2人目は日本橋梁工業の取締役総務部長である菊地智美さん。橋梁用伸縮継ぎ手(ジョイント)専門メーカーという堅い会社だ。道路にかかる橋と道路を継ぐ装置の顧客は、国土交通省や首都高速道路、地方自治体などおカタ〜いところ。彼女の問題意識は、「もっと施工に採用してもらいたい」「ゼネコンや土木コンサルタント会社の間での知名度を上げたい」「できれば一般の人にも知ってもらいたい」というものだった。さて蓮香さんの助言は……。
「縁の下の力持ちが横断的につぶやく“Tgitter(ツギッター)ネット”」
このダジャレに菊地さん、過剰反応した(笑)。蓮香さんの真骨頂はこういうベタなシャレだ。お肉をほおばりながら「商標登録とドメイン登録しちゃおう」「マスコミに広まったら、会社名もツギッター株式会社にしてしまおう」と、くちゃくちゃと冗談が飛び交った。
3人目は風船屋さん。タイと日本に生産拠点をもつマルサ斎藤ゴムの斎藤靖之社長のPR課題は、少子高齢化で子ども向け需要が頭打ちなことを受け、大人向け・老人向けの商品・サービスの開発など。ほかにも、低価格化への対応策やゴム価格の上昇など、商品特有の課題が目白押し。
蓮香さんは「実はこれが一番難しかった」と素直に言う。PRアイデアとして、介護施設でも行われるバルーンリハビリの先生を監修者にした「大人や老人が楽しむ風船を作る会の発足」、さらに「妊娠=お腹がふくらむ=バルーンのおめでたギフト」などいくつかを披露した。
「大人向けの風船か……」と、しばし発想がしぼみかけたところ、盛本さんは「バルーン蝶ネクタイなんかどう? バルーン帽子は?」とツっこんだ。私は秘かに女性が胸に入れるバルーン・パッド、男性が股間に入れるバルーン・マッチョを発案したが、ヒンシュクを買いそうだったので口をつぐんだ。
お客さまを笑わせよう!
本誌ではライター顔をしている私だが、もともとコンサルタントである。プレゼンでガンガン引き付けたつもりでも参加者がすやすや寝落ちしていたとか、提案にノリノリに見えたのにポロっと失注だとか、10年コンサルをやっていると、それなりに辛酸なめ男な思いを経験している。その経験から提案や助言が響くパターンを2つ挙げてみたい。
1つは「ボクならこうします」と自信を持って言える時。たいてい受注につながる。もう1つは顧客の側からスルっと良いアイデアが出るような“引き出し役”になれた時。私のセッションでは顧客のアイデアに「座布団1枚!」などとバカなことを言ったりもする。
この2つを一緒にしたのがランチコンサル。「これですよ」という言い切り、ヤバいまでのダジャレ(笑)、そして食が口と心のフタを開ける。彼のランチコンサルは好評で、7月はさらに2件開催するとこのこと。おいしく食べながら、笑って経営改善をしたいものである。
関連記事
- 日本一高いタレを売れ――PRの達人に秘けつを学ぶ
商品やサービスをメディアにPRするために企業が作るプレスリリース。30年近くプレスリリース・ビジネスに携わってきた蓮香尚文さんによると、記事に取り上げられるプレスリリースを書くにはコツがあるという。そのコツとは……? - 神保町「古書大入札会」で電子書籍の未来を考えた
電子書籍の登場で、古書の位置付けも変わりつつある。東京・神田神保町の「七夕古書大入札会」を見学して、デジタル化による古書流通革新の可能性について考えてみた。 - 今、“何でもない立地”が増えている危機
従来は絶好の出店候補地だったような場所が、“何でもない立地”になっていると主張する筆者。時代の移り変わりにともない、立地事情はどのように変化しているのか、またこれからはどのように商売したらいいのかを考えてみた。 - 旬の高知へ、龍馬の高知へ――言葉と食の旅をしませんか
「食事はただ空腹を満たすためにするのではない」と主張する筆者。坂本龍馬の故郷、高知県の食材をふんだんに使った料理を口にして、維新の土佐に思いをはせた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.