大企業が社員のクビを切れば、“いいこと”もあるのでは:ちきりん×磯崎哲也のマジメにおちゃらける(7)(3/3 ページ)
大企業が社員のクビを切れば、“いいこと”もあるかもしれない――。なにやら物騒な発言に感じるかもしれないが、米国では大企業がリストラをすることは珍しくない。また優秀な社員がクビになることで、社会的なメリットもあるようだ。
磯崎:銀行員や証券会社の人というのはツブしが効く方だと思います。しかしJALの人たちが散っていって、どうなったかといえば……そこはなんとも(汗)。
ちきりん:ハハハ。米国は大企業がどんどんリストラをする。しかも優秀なSEを大量に抱えているIBMやAT&Tのような企業が、平気でリストラをする。これは起業社会にとって大きなプラスでしたよね。
磯崎:僕は銀行員ではなかったのではたから見ていただけでしたが、長銀はよく言えば少数精鋭で、教養溢れる人が多かったですね。悪く言うと、イケてる人が狭いところで閉じ込められて「船頭多くして……」になっていた。元長銀の人の中には「世の中に散ることができて良かった」と思っている人も多いのではないでしょうか。
ちきりん:少しずつですが、そうした現象は増えていくと思いますね。
もし私が男性であれば、ずっと大企業に勤めていたかもしれないとよく思うんです。私の世代では女性がずっと会社に勤めても、重要な部門の部長に就くことはできませんでした。なので外資系で働く道を選んだんです。恵まれてない環境だったので、違う道に進んだけれど、男性だったらリスクをとったかどうか分からない。
磯崎さんは長銀総合研究所に就職されましたが、当時花形だった鉄鋼や電気業界関係の分析は先輩たちが抑えていた(関連記事)。なので花形ではないインターネット分野のアナリストをやることになって、そこからいろんな道が開けていった。一見不幸に見えることが、後からチャンスにつながることってたくさんありますよね。
磯崎:僕の場合はたまたまですが、そういったチャンスは少なくないと思います。
→続く。
ちきりんさんの対談バックナンバー
→NHKを1週間で左遷され……政治とメディアの世界を“いったりきたり”(対談相手:上杉隆さん)
→5W1Hに忠実な新聞よりも、グチャグチャな「圧縮新聞」の方が面白い理由(対談相手:phaさん)
→新聞が「若者は不幸である」と報じない理由(対談相手:赤木智弘さん)
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」
関連記事
- え、水商売を? ちきりんさんの正体に迫る
人気ブロガーとして多くの読者が注目する、磯崎哲也さんとちきりんさん。Business Media 誠ではこの2人に登場していただき、全9回の対談をお送りする。社会問題などをマジメに“おちゃらけ”てもらったが、今回はちきりんさんの過去に迫ってみた。 - 元気がないと言われるが……ニホンの若者には何が足りないのか
「ニホンには元気な若者が少なくなった」といった声を聞くことがある、本当にそうなのだろうか。この問題について、正体を明かさないブロガー・ちきりんさんと公認会計士として活躍する磯崎哲也さんが語り合った。 - なぜニホンではベンチャー企業が育ちにくいのか
「日本はベンチャーに冷たい」といった声を聞くことがあるが、本当にそうなのか。ベンチャービジネスを取り巻く環境や課題について、公認会計士の磯崎哲也さんと正体を明かさないブロガー・ちきりんさんが語り合った。 - 引きこもりに男性が多い理由
東京都の2008年調査によると、“引きこもり”の71.4%が男性ということでした。なぜ男性は引きこもるのか? なぜ女性は引きこもらないのか? その理由と対策を考えてみました。 - “スペック”が高い人の特徴
どこの職場やコミュニティにもいる“できる人”。そういう人の類型を、PCのスペックになぞらえて表してみると……。 - 朝日新聞が、世間の感覚とズレにズレている理由
気鋭のジャーナリスト、上杉隆氏、相場英雄氏、窪田順生氏の3人が、Business Media 誠に登場。「政治評論家に多額の資金が渡った」と指摘されている官房機密費問題や、メディアが抱える問題点などについて語り合った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.