iPadに勝てる機種はあるか? タブレット端末の未来を考えてみた:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
徐々に普及し始めているタブレット端末。1月6日から米国ラスベガスで始まる「2011 International CES(Consumer Electronics Show)」では、各社が自慢の新しいタブレット端末を展示している。タブレット端末はこれからどのように利用されていくのか、改めて考えてみた。
パーソナルからペルソナルへ
これまでPCは“用途開拓”でビジネスを創ってきた。オンライン販売、仕事、遊び、教育、友だち作り……とさまざまな用途をPCに取り込んだ。一方、タブレットの特徴は“シーン開拓”である。いろんなシーンにコンピュータが入り込んでくる。こんな具合だ。
- タブレットワーク、タブレットスタディ、タブレット飲食
- タブレット通勤、タブレットエキササイズ、タブレットサイクリング
- タブレットクッキング、タブレット掃除、タブレット洗濯
- タブレットシアター、タブレットテーマパーク、タブレット寄席
- タブレットヒーリング、タブレットコーチング、個室タブレット
「タブレット・ナニガシ」と生活シーンをヒモ付けると、PCよりもっと広い可能性があるのが分かる。スイッチON・OFFでネットやアプリに出入りが自在。それはパーソナル(個人)からペルソナル(いろんな自分)への変化。「ペルソナル・コンピュータ」がタブレットの真髄である。
タブレットバブルな懸念
とはいえチャンスだけでなく懸念もある。
風が吹けば何とやらで、タブレット向け業務アプリを開発するコテージ(小屋)規模の会社やフリーランスが繁忙期を迎える。「タブレットアイデア」を持ち込む企業が後を絶たない。米国では余りに忙しいのですでに“崩壊前夜”という声も聞こえるが、絶滅寸前のSI企業も、企業分割をしてでもそこへシフトチェンジするしかない。日本語にしがみついているわけにはいかない。
気になるのは「タブレットバブル」。アイデアを競い合い誰もが開発に走る。一気にブームになる。ところがタブレットは従来とお金の流れが違う。
従来の開発 手付け→開発→回収
タブレットアプリの開発 自己資金→開発→販売→回収か撤退か
アプリ販売を元締めるAppleやGoogleは潤うが、アプリ開発者とその投資家は、売れなければ資金流出だ。アプリが売れずに信用崩壊の連鎖。ブームだけにそこは見極めたい。
もう1つの懸念は「日本というタブレットガラパゴス」。日本市場に至れり尽くせりのau「IS03」はやっぱりヒットした。IS03をけなすワケじゃない。でもiPadにはオクテなのに、日本仕様品に飛びつくのを見ると、日本メーカーばかりか消費者までも進化に取り残されたガラパゴスになった感じがする。サイフはともかく、心まで鎖国していないだろうか。
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