ニッポンの匠の技だから作れる電気自動車の可能性
重量80キロのフルアルミボディ、アルミブロックから削り出したヘルメット。海外企業の勢いに負けないニッポンの製造業が、新しいクルマを生み出す原動力になるかもしれない。
1月19日から21日まで東京ビッグサイトで開催された「オートモーティブワールド2011」※。最新の電気自動車(EV)や駆動技術が出展される中に、“匠の技”を発見した。
アルミを叩け、叩け、叩け!
総重量500キロ、アルミボディだけなら80キロ。そんなオリジナルEVを作り出してしまったのが、試作複合板金加工メーカーのアミヤだ。まずは、ブースに展示してあった1/2スケールのボディを見てほしい。
直線と曲線が組み合わされた、レトロテイストのオープン2シーター。曲線部分は「叩き成形加工」という匠の技で作られている。これは、アルミの平板をひたすらハンマーで叩いて曲げるもの。少数生産品や試作開発品などで、金型を作成する費用のコストダウンや納期短縮に適した技術だ。
同社Webサイトで、オリジナルEVのプロモーションビデオを公開している。アルミボディによる軽量化は、登坂性能、最高速度、航続距離の向上に効果を発揮するという。
アルミを削れ、削れ、削れ!
一方、切削加工メーカーの大槇精機では、アルミ削り出しのヘルメットを展示。同時5軸加工により120キロのアルミブロックを150時間かけて削ったものが、3.6キロのヘルメットになった。もっとも薄い部分は0.3ミリだ。
ヘルメットメーカーではないので、残念ながら実用品ではない。3人の社員が業務時間外に、デザインを考え、工作機械のプログラムを書くなど、徹夜もいとわず1カ月間で完成させた。削りカスとなってしまった約116キロのアルミはリサイクル業者に引き取ってもらったそうだ。値段が付けられない、まさに一点モノだ。
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