第47鉄 災害と復興と洋菓子――2008年夏、柏崎:杉山淳一の+R Style(6/6 ページ)
大震災に襲われた街が復興するまで、どれくらいの時間が必要なのだろう? 震災のニュースは、時間の経過とともに扱いが小さくなり、1年も経てば人々が思い出すことも少なくなる。しかしその程度で街は回復しない。被災地では1年以上経っても、震災は続くのだ……。
2011年、東日本大震災に思う
柏崎の旅から2年半が過ぎた2011年3月、東日本を未曽有の大地震と大津波が襲った。太平洋側の被害が大きく伝えられる中で、長野県北部や新潟県でも大地震が起きている。ブルボンはいち早く新潟県に対してミネラルウォーターと義援金を拠出。東北地方にも義援金拠出や避難樹支援活動を始めていた。さらに新潟県の5つの工場と山形県の工場で被災者の臨時雇用を実施するという。その直前に起きたニュージーランドの地震でもブルボンは支援を行っていたらしい。
私は何もできず、せめてお菓子を買うならブルボンにしようと思うくらいだ。たまたまブルボンを知っただけで、他の菓子メーカーも支援をしていると思う。けれど、越後線に乗ったおかげでブルボンの心意気を知った。ただボケーッと車窓を眺める旅は、時として良い勉強をさせてくれる。またいつか柏崎を訪れる機会があったら、こんどこそ海岸公園から海を眺めつつ駅弁を食べよう。
東日本大震災は鉄道の被害も大きく、特に三陸方面は線路が無くなってしまった。私にとって三陸沿岸は未踏の地も多い。しかし、柏崎の教訓を胸に、半端な時期に行って勘違いしないためにも、旅する時期を見極めたい。
復興を願い、そのために私は何ができるかと考える。僅かながら日本赤十字への寄付はしたけれど、鉄道ファンとして、鉄道へ直接支援するにはどうしたらいいんだろう。被災した路線は「復興時有効の乗車券」を売ってくれたらすぐにでも買いたい。あるいは、かつて赤字の第3セクターが試みた「枕木オーナー制度」などもいいんじゃないか。
震災復興のため、臨時の石油輸送列車が横浜・根岸から東北へ向けて走り始めた。その姿を頼もしく思った。鉄道の復興は地域復興の象徴でもあり、人々に再興への勇気を与えてくれるだろう。被災した鉄道路線の関係者様、こんな時は遠慮せず、鉄道ファンのお財布をアテにしてください。
今回の電車賃
JR東日本 新宿 - 立川 450円。青春18きっぷ 1日分 2300円。快速ムーンライト信州指定席券 510円。
著者プロフィール:杉山淳一
肉食系鉄道ライター(魚介類が苦手)にして、前世からの鉄道好き。生まれて間もなく、近所を走っていた東急池上線の後をついていったという逸話あり。曰く「いつもそばを走ってたから、あれが親だと思った」
コンピューター系出版社でゲーム雑誌の広告営業を経験した後、フリーライターとなる。オンライン対戦ゲーム、フリーウェア、PCテクニカルライティングなどデジタル系の記事を専門とし、日本初のEスポーツライターとしてオンライン対戦ゲーム競技を啓蒙する。
趣味は日本全国の鉄道路線探訪で、現在の路線踏破率は約8割。著書は『もっと知ればさらに面白い鉄道雑学256(リイド社)』『知れば知るほどおもしろい鉄道雑学157(リイド社)』『A列車で行こう8 公式ガイドブック(エンターブレイン)』など。
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