これからの「キーボード」の話をしよう:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
多様なタイピングスタイルがあり、さまざまなタイピング仕事が世の中にあるにもかかわらず、キーボードのバリエーションは驚くほど少ない。そこでユニークなキーボードに注目し、キーボードにどんな可能性があるか考えてみた。
キーボードの作り方・売り方を再発明しませんか
仕事のジャンル、入力環境、指という感覚器官、そして思考作業を考慮したこれらのデザインは、タイピングの本質をとらえたものだ。
一方、一般のキーボードはどうか。例えばノートPCではよく“キー間隔17.5ミリ”といった表現がある。打ちやすい間隔は大切だけど、ユーザーの立場からすればサイズだけではない。叩く力が強い人や弱い人、指の先で打つ人や腹で打つ人、ブラインドタッチ上級者もいれば下級者もいる。素材の感触を大切にしたい人もいる。それなのに店頭では、機械としての仕様説明はあっても、タイピングの良し悪しの確認さえできない陳列が多い。
「手が小さい人にはこちら」「指のここで打つ人にはこちら」「強く叩く人はこの機種」「サラっとしたキーはこれ」「疲れやすい人にはこれ」という選択ができればいいのに。
商品開発でも基盤、電池、液晶といった機構の組み合せからではなく、自動車がドライビングポジションからクルマを作るように、「入力作業・姿勢から」コンピュータをデザインすると、これまでと違うカタチになるはずだ。いすやデスクの会社と共同開発してもいい。またタイピングのトレーニングでも、正確さや速打ちばかりでなく、正しいタイピング姿勢こそ教えてほしい。
すると自由な発想が出る。「やる気の出る色のキーボード」「まったりの香りが出るキーボード」「発想のツボを刺激するキーボード」「静寂なるキーボード」「冷んやりするキーボード」「八つ当たりできるキーボード」……。キーボードは仕事を選び、場所を選び、インタフェースを選び、思考品である。だからこそ可能性がある。
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