日本政府観光局は6月16日、5月の訪日外国人客数が前年同月比50.4%減の35万8000人になったと発表した。3カ月連続で前年同月の水準を50%以上下回っているが、震災発生後の3月12日〜31日は前年同期比73%減、4月は同62.5%減であったことを考えると、回復基調にあると言えそうだ。
しかし、日本政府観光局では「福島第一原子力発電所事故が完全に収束しておらず、世界のマスコミによってその状況が随時報じられている。旅行の前提となる安全・安心に対する懸念が、世界各地で依然、高い状態にある」とコメント。
主要12カ国の日本全体への渡航勧告の状況を見ても、豪州は高度の旅行注意勧告、台湾は渡航注意勧告(沖縄県を除く)、香港は渡航注意勧告、中国は安全に関する注意喚起を出している。
地域別にみると、ほぼすべての国・地域からの訪日外国人客数が4月より回復しているが、特に台湾では前年同月比40.4%減の6万8000人と、4月の同67.4%減から27ポイントも回復した。
日本政府観光局では「王金平行政院長が300人規模の台湾人観光訪問団を率いて、5月12〜15日に北海道を訪問し、旅行の安全性をアピール。これが大きく報道され、訪日旅行の不安払しょくにプラスに作用した。また、全日空、中華航空、エバー航空が一部の日台航空路線で破格の特別料金を提示し、一般消費者への刺激要因になった」と分析している。
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