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Like No Other――ほかにはないソニーらしさを探して:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
革新的なハードウエアを創出し、それを楽しむコンテンツで拡張させてきたソニー。しかし、Appleなどの攻勢を受けて、そのサイクルは失われつつある。“ソニーらしさ”とは何なのか? 改めて考えてみた。
ほかにはないソニーを
だが、2000年代になりiPodとiTunes、そしてiPhoneの出現で、ソニーサイクルはAppleサイクルに替わった。数百曲、数千曲をポケットに入れられる、ウォークマンをしのぐ価値を込めたハードは、MDもCDも駆逐した。革新ハードとソフトの供給システムの次の標的は、電子書籍と映画配信である。
ソニーの苦悩はスローガンの変遷にも現れている。
“Digital Dream Kids”(1996〜2000年)
“Like No Other”(2004〜2008年)
“make.believe”(2009年〜現在)
好調だった時には“夢”があり、現実的になった今は“作り、信じる”。私はmake.believeはピンとこない。“ほかにはない”というニュアンスのLike No Otherが好きだ。
ソニーが2005年に捨てたものの中にそれはあった。エンターテインメントロボット『Aibo』。社会現象にもなったロボットには、今までにないジャンルを創る力とほほえみがあった。
ソニーはモノ作りを超えた会社、文化創造業である。本当の復活は決算数値ではなく、ほかにはないハードから、ほかにはないエンターテイメントの供給システムからだと思う。そこにチャレンジするソニーが見たい。
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