Androidに至るモバイル進化の系譜:遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論(3/3 ページ)
スマートフォン全盛、とくにAndroid端末の多様性はまさに花盛りの昨今。ふと「いまAndroidってやばいんじゃないか?」という印象を持った筆者。今のAndroidの状況は、PalmOS全盛期に似ている――そこで、PDAの歴史を振り返ってみることにした。
WebOSの操作性のよさは、すでに米国では一昨年に発売されている「Palm Pre」で高く評価されている。しかし、重要なのはその名前のとおり、OSレベルでクラウドコンピューティングを前提としている点だ。
これまでスマートフォンの歴史を動かしてきたのは、手の中に入るためのデザインや大きさなどの「意匠」や「操作性」、それにまつわる「特許」、「開発者コミュニティ」の存在だった(実はその延長にアプリという概念があるのかもしれない)。その比重は少しずつ変化していき、今後、それらはあまり重要ではなくなっていくのではないか? というのが、セッションでのわたしなりの結論だった。
たぶん、意匠や操作性などに取って代わる存在は、コミュニケーションのスタイル自体がソーシャルになった時代の、そのベースとなるクラウドなのだろう。そうなったときの端末は、もはやただの画面と言うべきもので、電話という概念が消失するということかもしれないが。【遠藤諭、アスキー総合研究所】
遠藤 諭(えんどう さとし)
1956年、新潟県長岡市生まれ。株式会社アスキー・メディアワークス アスキー総合研究所 所長。1985年アスキー入社、1990年『月刊アスキー』編集長、同誌編集人などを経て、2008年より現職。著書に、『ソーシャルネイティブの時代』(アスキー新書および電子書籍版)、『日本人がコンピュータを作った! 』、ITが経済に与える影響について述べた『ジェネラルパーパス・テクノロジー』(野口悠紀雄氏との共著)など。各種の委員、審査員も務めるほか、2008年4月より東京MXテレビ「東京ITニュース」にコメンテーターとして出演中。
コンピュータ業界で長く仕事をしているが、ミリオンセラーとなった『マーフィーの法則』の編集を手がけるなど、カルチャー全般に向けた視野を持つ。アスキー入社前の1982年には、『東京おとなクラブ』を創刊。岡崎京子、吾妻ひでお、中森明夫、石丸元章、米澤嘉博の各氏が参加、執筆している。「おたく」という言葉は、1983年頃に、東京おとなクラブの内部で使われ始めたものである。
関連記事
- 遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論:Google+はクラウド時代のトモダチコレクションなのか?
Googleの新しいソーシャルサービス「Google+」のフィールドテストが始まった。「FacebookやTwitterとどこが違うの?」という声もあるが、実際に使ってみると意外な便利さ、面白さがある。 - 遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論:iPhoneとゲームボーイの共通点――横井軍平、そしてオモチャの時代
優れたオモチャには、子どもにもすぐ遊べるシンプルさと、触った途端にパッとスムーズに動くレスポンスが必須だ。iPhoneを触っていて思ったことがある。「コンピュータはいま、ようやくオモチャの世界に追いついたのではないか?」 - 遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論:ネットの世界に住む巨大なゴリラとは何か――「ソーシャルネイティブ」の時代
FacebookやTwitter、Apple、Google……IT業界のプレーヤーたちが出す新しいサービスや製品に私たちが振り回されているうちに、実はその背後で、非常に大きな変化が起こっているのではないか。ネットとリアルで起こりつつある、その大きな変化とは? - 遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論:「iOS 5」「iCloud」で加速する、“怪獣大戦争”のゆくえ
「iOS 5」や「iCloud」を発表したアップル。Mac OSとの関係を思うと、注目は「iOSアプリとWebアプリ、どちらが今後のコンピューティングの主役になるのか?」という点だ。GoogleやTwitter、Amazonも巻き込んだパワーゲームは、これからどこに向かうのだろうか。
関連リンク
Copyright© ASCII MEDIA WORKS. All rights reserved.