30代前半の会社員がするべき4つのこと:吉田典史の時事日想(2/2 ページ)
昇進して部下を持ったり、結婚・離婚したりするなど、会社員にとって人生のターニングポイントとなるのが30代前半の時期。この時期をうまく乗り切るために、4つのことを行うべきだと筆者は主張する。
上司や先輩らを刺激しない工夫
ここまで説明した1と2がきちんとできる人は、上司からの評価が高いはずだ。しかし、優秀であるがゆえに上司や先輩が嫉妬して、いじめなどを行うことがありうる。ここで、3の「上司との関わりを深く、しなやかにする」ことが必要になる。
つまり、上司や先輩らを刺激しない工夫が求められるのだ。30代前半で優秀な人で上司から潰される人は、この術を心得ていない。いくつかの方法があるが、少なくとも次に挙げたことは実行したい。矢印の右は、その理由である。
- 職場で群れをなす→1人になると、上司はいじめをしやすい。
- つけこまれやすいミス(誰にでも分かりやすいミス)をしない→上司が部下を潰す時は、世論を気にする。周囲から「いじめをしている」とは思われたくない。だから、叱りつけるための明確な理由がほしい。
- 報告、連絡、相談を多くして、上司らから「見える人」「分かりやすい人」になる→警戒心を解くためには、自分のことを分からせることが大切。
- TPOをわきまえた言動をとる→上司は防衛本能が強いもの。みんなの前で、上司を否定するような発言はタブー。
- 上司の前はもちろん、上司のいないところでも(特に上司と仲がよい人)、上司を立てる発言をすること→この噂はほぼ間違いなく、上司の耳に入る。「かわいい部下」にならないと損。上司が優遇するのは、「仕事ができるが、かわいくない部下」ではない。「仕事はそれなりにできて、かわいい部下」なのだ。
上記のことをすると、上司との関係が深くなる可能性は高い。私の経験論でもある。ただし、深くなるといいように利用されることもある。従って、時には引くことも必要になる。それが前述した、しなやかさである。具体的には報告の回数などを減らしたり、上司を持ち上げる発言のトーンを弱くすることだ。そして、上司の反応を見つつ、また深くなるようにするべきだろう。この強弱が大切だ。上司をコントロールするのである。
4の「心を安定化させるシステムを作る」だが、30代前半はさまざまな面で曲がり角を迎える。この時期に例えば、結婚をしている人を観察すると、その後の人生が比較的、安定したものになっている可能性が高い。ただし、この逆もある。私がかつて勤務した会社には、この時期に離婚し、その後、生活がすさみ、昇格が同世代の中でも相当に遅れた人がいる。
同世代で何かと差が付きやすい時期であるがゆえに、多くの人が不満を抱えたり、不平を言う機会が増える。経験論で言えば、不満を抱えていて人生が好転することはまずありえない。その不満を減らしていくためにも、心を安定化させるシステムを作りたい。私は毎日2時間歩くが、これもその1つの術だと思っている。
大切なことは、会社員は組織の一員である以上、上司や周囲との関係作りに絶えず注意を払うこと。くどいようだが、会社員は個人事業主ではない。あなたを生かすことも殺すこともできる上司との良好な関係づくりの最大のツールが、安定した心なのだ。この心があれば、上司は決して見放さない。
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