アナウンサーからMBAに挑戦、30歳の決断の背景にあったものとは:活躍するMBAホルダーたち(3/3 ページ)
健康と美容の分野で、「カジュアル」「フレンドリー」「リーズナブル」「クイック」の4つのコンセプトを掲げ、忙しい現代人にサービスを提供している株式会社ノンストレス。同社代表取締役の坂野尚子さんにMBAを取得した際の話をうかがった。
MBAを取った後の変化
――MBAに対して、周りが漠然と持つイメージ、取得後はサラリーが上がるとか、英語が堪能になるとか、そういうことは実際どうなんでしょう?
自分自身がどうこうではなく、キャリアカウンセラーとして、キャリア戦略研究所という会社をずっとやっている中で見聞きしていることから言えば、それはやはりイエスだと思います。
でも、全員が、ではないんですよね。十何年間キャリアカウンセリングをやっていて思うのは、やはり、その人がビジネススクールに何を求めて行ったか、それから、もちろんキャリアチェンジをしてもいいんですけども、何と言うか、MBAさえ取れば、飛躍的にお給料が上がって、自分の地位が上がって、という表層的なところで考えてしまうと、ヘタするとキャリアダウンしている人たちもいっぱいいるんですよね。大枚はたいて外国に行ってMBAを取ったけれども、正直あまり役に立たないで、前よりちょっと落ちてしまうとか、そういう人も実際いらっしゃいます。
やはりそこは非常に難しいところですよね。もちろんそれはその人の能力だけではなく、運がないとかそういうこともありますが、MBAと言ってもピンキリなので、そうするとやはりMBAという学位は取れたけども、あまりインパクトのない学校とかもありますから、そのあたりはやはり注意した方がいいのかな、と。MBAっていう名前だけ取れば万能というわけではないので。あとは実際、私もそうですけれども、前職とは全然違う方向にキャリアチェンジできるというのは、やはりビジネススクールというのは、1つの中間地点に位置するから、ということだと思うんですね。
だから、学校選びは慎重にした方がいいということと、それからやはり、一貫性ということで、自分が何を目的にするのか、そのために通過地点としてビジネススクールが必要か必要じゃないか、という風に見ないと、さっき帰納的と演繹的と申し上げましたけども、単純に、とにかくビジネススクールに行けばどうにかなる、というような考えで行くと、うまくいきません。
そうではなく、自分はこういうことを目指しているが今の自分はこうだ、となると、そこのギャップを埋めるために、ビジネススクールに行くということをツールにする、手段にする。こうして行くんだったら、非常に効果があるんじゃないかと思います。みんながみんなトップ10校に受かるわけではないですからね。
私自身はキャリアカウンセリングをしていただくような人がいなかったから、会社を辞めてから準備しましたが、私がカウンセリングをやる時によく「まずトライして、受かってから仕事を辞めてもいいわけだし、逆に辞める必要はなくて、もしかしたら休職とか、女性の場合は育児休業であるとか、そういう制度を利用して行く方法もある。必ずしも帰国後のことをまったく無にして行く必要はないのではないか」とアドバイスしています。
特によくご相談にあるのは、30歳を超えて行くケース。35歳とか40歳を超えてから行きたいとか、そういう方も結構いらっしゃって、自分の時は年齢が結構上のほうだったのが、もっと年上の人が行きたいっておっしゃるケースが、結構今まであったんですけど、非常にリスクが高いと思うんです。帰ってから就職できるかということもありますし、家族の問題もありますし。あと実務でかなり上のほうにいらっしゃる方で、行って何を勉強してくるのっていうケースもありました。それだったらエグゼクティブプログラムのほうがいいんじゃない、ということもありますので、そのあたりは結構慎重に考えたほうがいいですよね。必ずしもMBAにこだわらなくても。まあ、昔と違っていまはMBAも珍しくないですからね。
――MBAを取得したことによって、自分の人生がどのくらい変わったか。0から5で表現すると?
私の場合は5です。キャリアチェンジもしたし、たぶんビジネススクールに行かずに起業したら、こういう形にはならなかったと思いますね。そのときに身につけた考え方や思考がベースになっていると思いますので。
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