10周年のナチュラルローソンから、コンビニの未来を考えた:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
女性の美と健康にフォーカスした商品や、快適なライフスタイルを提供することを意識したナチュラルローソンがこの度、誕生10周年を迎えた。10周年を記念して行われた“感謝の夕べ”で、筆者はコンビニの未来について考えた。
ナチュラルなお店を目指して
「コンビニなのにおいしいワイン」というナチュラルローソンの定評は、無名の小さな蔵からおいしいワインを直接仕入れする“蔵直”を行う、ヴィノスやまざきの力だ。
「10年前にお話があった時、『ええっ、コンビニ?』『大量生産でしょ』とお断りしたんです。ワインは短期間では浸透しない、コンビニでは売れないと思ったのです」
10周年の祝辞で登壇した同社COOの種本祐子さんは、ほかのコンビニとは違って「じっくりと商品を売る」スタイルを貫く姿勢に好感を持ち、商品を納入。ほかにはない高品質のボージョレヌーボー、そして10周年記念の2001年ヴィンテージワイン販売につながる。
2001年からスキンケア商品を納入する松山油脂の松山剛己社長は、ナチュラルローソンの明日、コンビニの明日を射抜いた。
「ナチュラルローソンはもっと店が多ければいい。なぜなら存在が唯一無二の小売りだからです。効率だけでなく価値を提供し、コンビニエンスだけでなくスタイルを提供する。これからの新しい小売りのあり方を提案する業態。だからもっと大きなかたまりとなって、震災以降、新しい生き方や暮らし方を模索しなければならない日本人にとって、小売りのスタンダードになるような、業態に育っていただけることを願っています」
同感。これからは大企業であっても善でなければならない。いや地球環境や暮らしに大きな影響を及ぼす規模だからこそ、戦略でも振る舞いでも善であってほしい。
そしてコンビニ各社は今期6期ぶりに出店を大幅に増やす。店内調理や高品質商品も増やして進化する店舗が増える。すると“第二の淘汰”も起きる。かつて酒屋がつぶれ、キオスクも縮小したように、次はベーカリーやレストラン、化粧品店の番だろうか。拡張する中で、優れた中小企業や店舗をもっと発掘し、パートナーシップを広めてほしい。共存は差別化の要素でもある。商品だけがナチュラルではなく、商業活動も人間らしくナチュラルになるように。
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