転職をした人が始めの半年でするべきこと:吉田典史の時事日想(3/3 ページ)
「転職者は1日も早く実績を残すべき」というビジネス書のアドバイスは間違っているという筆者。最初の半年は、仕事をしやすい環境を作ることに注力するべきだと主張する。
「実績で決着をつけてやる」と考えない
上司を味方に付けると、その周囲にいる先輩たちからもある程度、信用される。上司からすると、自分を中心とした体制に新参者が入り、それに従う姿勢を示したことで一段と信用する。大多数の上司は、防衛本能を持っている。自分を中心とした体制を作りたいと願っている。部下をする以上、その心理を忘れないことだ。
ここで注意をしたい。ここまで来ると、先輩の中で「こいつ、気にいらない」と思い、上司が見ていないところでいじめなどをする人がいるかもしれない。
その際、大事なことは力で勝負しないことだ。「実績で決着をつけてやる」と考えないことだ。転職で失敗する人は、得てしてこの力技で闘おうとするから、その先輩だけでなく、ほかの先輩、さらには上司までを敵にしてしまい、自滅する。
転職者は、まずは自分が仕事をしやすい環境を作ることに力を注がないといけない。このインフラ(基盤)ができていないと、職務遂行能力が高かったとしても、実績は残せない。
自分の足を引っ張ろうとする先輩には近寄ることなく、離れることもなく、あいまいな姿勢でいよう。あいさつは大きな声でして、揚げ足を取られないようにしたい。相手は、因縁を付けるきっかけを探している。対抗策としては、上司や周囲にいる先輩との関係を一段と強くすること。そして、後輩にも腰低く接する。1人でも多く味方を作ろう。足を引っ張ろうとする先輩の包囲網を作るのだ。
ただし、敵意を悟られてはいけない。3で説明した「良好な関係を作ろうとする姿勢を演出する」ことを忘れないこと。おとなしく振る舞い、裏では上司や先輩、後輩を味方に付けること。この体制を少しずつ作ると、職務遂行能力を発揮する下地が整う。半年間でここまでできれば、それ以降はじわりじわりと頭角を現し、自分にとって都合のいい職場にしていけばいい。
「新しい会社に入った以上、1日も早く実績を残さなければいけない」などと、信じている場合ではない。会社員経験が浅いコンサルタントや、ベンチャー企業の経営者がゴーストライターを使い、ビジネス書でそう書いているのだが、そんな甘い考えに感化されると、転職で上手くいかない。また、数年以内に辞めてしまうのではないだろうか。
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