評価は後世に委ねたい――菅直人首相、辞意表明会見全文(5/5 ページ)
菅直人首相は8月26日午後、退陣条件としていた再生可能エネルギー固定価格買い取り法と特例公債法が成立したことを受け、民主党両院議員総会で退陣表明した。その後、首相官邸で開いた会見の内容を詳しくお伝えする。
首相は衆議院の任期である4年はやった方がいい
――(フジテレビ・松山)同じく民主党代表選についてなんですけれども、今回の代表選の中で候補者乱立する中、再び小沢元代表のグループの動向というのが、結果を決定付ける重要な要素となりつつありますけれども、小沢氏らの党員資格停止の解除などが焦点となっている今回の事態について、総理自身どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。また、その幹事長などに小沢氏に近い人を配置してでも、党の挙党一致体制というのを図るべきだと認識されますでしょうか。また、今回新しく代表が総理に就任された時に、総理自身は「日本の総理は長くやった方がいい」とおっしゃっていましたけれども、その新しい総理が解散総選挙を行うべきと、お考えになりますでしょうか。
菅 まずは、私自身も決して何か特定のグループを排除していいとか、排除しようとか思ったことは一切ありません。今、党員資格の停止のことをお聞きになりましたけれども、これはもうみなさんご自身よくお分かりのように、一定の手続きに則って党内で議論に議論を重ねて、ああした結論を出したもので、決して何か特定の人とか、特定のグループを、何かこのターゲットにしてやったことではなくて、どなたがそういう状況になった場合でも、党のルールとしてどうあるべきかという、そういうことで決まったものだと、このように認識をしております。
そういった意味ではやはり、私はある時期「412人の内閣」と申し上げましたけれども、それはまさに党に揃っているすべての国会議員、あるいは地方議員や党員も含めて、そういうみなさんが、まさに能力に応じ、適性に応じて適材適所で活躍をできる、そういう政党が望ましいし、そういう形で新たな代表も党を運営してほしいと、このように思っております。
――解散総選挙も次の総理が行うべきと、お考えになりますか。
菅 先ほど申し上げましたように、総理の任期というものが、一般的にいえば「政権交代があった場合に、衆議院の任期の4年はあっていいのではないか」と思っております。解散の時期にうんぬんと、それを直接的につなげてすべきか、すべきでないかと質問されると、ちょっと何か、真意が伝わらないこともありますので、私としては、やはり1人の人が4年程度はやれるのが望ましいと、その間に任期がくれば、それは任期ですから、当然解散というよりは任期満了を含めた選挙になることは、それはルール上当然のことだと思ってます。
――(朝日新聞・坂尻)原発の警戒区域の見直し問題についてお伺いいたします。政権ではこれまで、2012年1月のステップ2の終了に合わせて冷温を停止すると。それに合わせて警戒区域の見直しを検討するという姿勢でいらっしゃいましたが、最近になってその政権内で、なかなかすぐに解除をするのは難しいと、相当期間解除を先延ばしにしなければならない、という検討をされていると伺っています。実際にそういう実態があるのかどうかということと、これまで説明してきたことを、いわばこの政権、今の段階というか土壇場になって、こういう姿勢を変えられるというのはどういった事情だったのか、その点説明していただけますか。
菅 ご承知のように原発事故が発生して、避難区域を一番最初の段階では3キロ、5キロ、10キロ、20キロと拡大をいたしました。また、その後そういう円状の地域という考え方だけではなくて、実際にモニタリングが進む中で特に線量の高い地域について、色々と計画的避難区域などの対応をとってきたことは、みなさんもご承知の通りであります。
そういった意味で現在、今日の決定でありますけれども、除染を進めるということを本格的に、2200億円の予備費を使って始めようと、その目標もその中にきちっと表現をしました。つまりは、年間被ばく20ミリシーベルトを超える地域は、基本的にはいま住民が避難をされているわけですが、できるだけその地域に戻れるように、狭くするというか、戻れるように除染をしていこうと。また、20ミリシーベルト以下のところであっても、特に子どもさんについてもそうですが、1ミリシーベルトを目標にして、しっかりと自治体と一緒になって除染を進めていこう、それに対して国も全力を挙げようということであります。
それでは、それらを進めればどこまで実際に除染の効果が出るか、今現在そういうものも専門家のみなさんも含めて検討をいただいているところでありまして、その検討の中でどの時期までにそうした形が取れるのか、あるいはかなりの長期間そういうことが難しい地域があるのか、そういったことについてもモニタリングと専門家のみなさんの検討を、お願いをいたしているところであります。
そういった意味で今何か方針が変わったようなご質問がありましたけれども、そういう方針が変わったというのではなくて、「できるだけ多くの方に早くもとの住まいに戻っていただきたい」という、その考え方は変わっておりません。しかし、実際にそれが可能であるかないかということは、これはまさにモニタリングをしたり、色々な現実を調べる中でそういう専門家のみなさんの判断も含めて必要になりますので、そういうことについては、そうした専門家のみなさんの判断も含めて、考えて方向性を出していかなければならないと、このように考えております。
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