コラム
事業継続計画は誰のために必要なのか?(2/2 ページ)
3月11日に起こった東日本大震災で、東北地方は大きな被害を受けた。事業を停止した企業も多くあるような状況を前に、事業継続計画を作成する意味はあるのだろうかと筆者は疑問をていする。
BCPは経営者のためではなく、従業員のためにある
ここで問題になるのが、M6.0〜M8.0クラスの地震が発生した場合の対策ということになります。
経営者は会社を一度畳んででも、国の助成金を受けつつ再開することが可能です。一度全社員を解雇してでも、それまでの経験やつながりで事業を再開できるわけです。
しかし、従業員は違います。会社がなくなり、働く場所がなくなり、失業者が増えることによって次の仕事が見つからなければ生活設計ができなくなります。
災害が大規模ではなく中規模のもので、企業によって被災状況が異なるような状況にある時、自分たちだけが被災してしまうようなことは避けなければなりません。結果として、自分自身と家族を守るための対策を考えないといけないということになります。
この点においては、BCPは経営者によるトップダウンで行われるものではなく、従業員が自分自身の生活を守るために行うべきものではないかということになります。結果として、BCPに関心を持つべきは経営者であることは間違いないのですが、それ以前に、社員ひとりひとりが関心を持っていなければならないと考えるのです。(荒川大)
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