中小企業の新卒採用が失敗し続ける理由(2/2 ページ)
一般的に大企業より遅れて採用活動を行う中小企業。「自分たちのような中小企業は、大企業が採用しなかったような学生しか採用できないという、いかにもプライドのない前提に立っているのは、いかがなものか」と筆者は主張する。
なぜ大企業と同じ時期に活動しないのか
中小企業がうまく採用できない最大の原因は、大企業と同じ時期に活動しないからである。大手採用サイトがオープンするのは、例年10月、今年は12月だが、この時期に学生のエントリーが集中する。オープンを待って一斉に学生が企業にエントリーし、その後、だんだんと減少していくのが常だ。
つまり、アプローチできる学生の個人情報を大量に獲得するには、採用サイトのオープン時期からしばらくの期間がチャンスなのだが、中小企業は「大企業が終わってから採用しよう」と思っているので、この時期に掲載していなかったり、エントリーできない状態であったり、選考プロセスや日程があいまいであったりする。なかなか応募者の数が集まらないのは、この時期をうまくとらえていないことが大きいのである。
少ないエントリー者の中から選ぼうとすると、なかなか決まらないのは当然だ。だから、いつまでも選考を続けないといけないし、場合によってはまた改めてエントリー者を獲得することから始めるなど、採用活動を終えることができない。
中小企業だと採用担当者がほかの業務も兼務している場合も多いので、こうして採用活動が長期に渡るのは厳しいのだが、そうなってしまっている最大の原因は、早く始めないからである。早く始めると、もっと長くなると思っておられる人が多いのだが、遅く始めるから数が集まらず、決まらず、秋になっても冬になっても活動を継続せざるを得ないのだ。
事業活動と同じように、自社に誇りを持ち、大企業に伍していくという姿勢を持って、時期を早めるのはもちろん、しっかり広告やプロセスの工夫を凝らせば、今ほど採用に苦しむことはないはずだ。
時期を遅らせるから、応募者不足になる。だから、内定を出せる学生になかなか会えない。会えないから採用が長引く。長引くから、次年度の採用シーズンの準備が十分にはできず、また大手に遅れてしまう。そこで「早く開始しても、どうせ大企業に採られてしまうから」と言って遅れたことを正当化する。中小企業の新卒採用は、こういう悪循環を断ち切らねばならない。(川口雅裕)
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