2割の働き者側に回るか、8割のテキトー者側に回るか?(2/2 ページ)
真面目に働く者が2割、テキトーに働く者が8割で社会が回っていくという「2:8(ニ・ハチ)の法則」。私たちはどちらの生き方を選ぶのが幸せなのだろうか。
欲望の底にある心持ちが大事
正義を行いたいとする欲望は、いつしか独善を強いる欲望へと変わる時がある。愛したいという気持ちは、知らぬ間に憎んでやるという気持ちへ変じる可能性がある。「お金をもっと稼ぎたい」という欲求が健全に仕事と生活を進める場合もあれば、それで身を持ち崩す場合もある。
自分に湧いてくる欲望に「善」「悪」のラベルが付いているわけではない。また、どこまでが「OK」で、どこを超えると「OKでない」かの線引きがあるわけでもない。
だから、人間の欲望は促進すべきなのか、それとも抑制すべきなのか。これは簡単に答えを出せる問題ではない。欲望には「陽の面」と「陰の面」があって、人間を育てもするし、惑わしもする。社会を進歩させもするし、混乱させもするのだ。
大事なことは、欲望の底にある心持ちがどうであるかだ。もし、その欲望が、自分だけに閉じた(つまり小我的)感情で、ほかと不調和的な心持ちから起こっているなら、「陰の面」が出てしまうだろう。こんな時は他人をかえりみず「欲を貪(むさぼ)る」、もっと成長できるにもかかわらず「欲を怠(おこた)る」という状態が起こる。
逆に、その欲望が社会に開いた(つまり大我的)意志で、ほかと調和的な心持ちから起こっているなら、「陽の面」が出るだろう。その時は健全に「欲を制する」、自分の可能性を縦横無尽に伸ばせるよう「欲を開く」という状態になる。
ここでの悪神のささやきにはトリックがある。悪神は「足るを知る」という玉条をもって、欲をすべてひと絡げにして“ホドホドにせよ”と耳打ちする。富の偏りを挙げて、欲の強さを一緒くたに金欲に結びつける。
私たちが自身に求めるべきは、欲を押し並べて“ホドホド”にすることではない。その欲を自己以外に開いていくことだ。そうすれば自然と大きな知恵が湧いてきて、貪欲でいい時と、抑制すべき時の見境がきっちりできるようになる。賢く強く生きるために、私たちは己の欲望の主人になることだ。(村山昇)
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