成功しそうでしない商売、ネットスーパーはどう運営するべき?:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
成功しそうでしない商売とも言われるネットスーパー。このほど、コンビニ大手のローソンもらでぃっしゅぼーやと組んで参入することを発表した。ネットスーパーがうまくいくための条件とは何なのか考えてみた。
ミステリーな“ワクワク鮮魚BOX”はいかが
「高い」と感じた配送サービスにも突破口があるかもしれない。ローソンの新浪剛史社長は先日の決算発表会でこう言った。
「物流に価値があるなら喜んで払います!」
らでぃっしゅローソンの「マイらでぃBOX」は旬の野菜などをメールで提案して、指定配送日に届ける“おすすめサービス”。野菜やPBなら常温宅配でOK。しかし、らでぃっしゅローソンでは、常温と冷蔵の宅配を同時に頼むと“2個口”になってしまう。消費者転嫁は表向きはなくても、コスト高要因だ。
だが、1つの箱に野菜と冷蔵品を一緒に入れて配送できれば違ってくる。社長はネットスーパーの求める常温(20度)・冷蔵(2〜4度)・冷凍ニーズを、料金を含めて満足できる配送サービスが現状ではないというのだ。品質を追えば料金が高くなるのは仕方ない。各社の宅配便料金は信頼性にほぼ比例している。だがニーズがあるのにシステムがなく、特別扱いで高すぎるものになってしまうこともある。
相棒の料理研究家のcherryさんはズバリ“鮮魚”が欲しいと言う。
漁港では一定の品質を満たす魚以外は、クズ魚として地元消費に回される。しかし、不揃いでもうまい魚をむしろ魚好きは喜ぶ。そんな不揃いの魚が「40匹あります!」と100人の魚好き登録顧客にプッシュメールすると、競争で1分で完売しそうだ。あるいは「旬の稀少魚をBOXに入れます、中身は届いてのお楽しみ」のお魚ワクワクBOXもうれしい。
らでぃっしゅローソンのおまかせサービスは肉でも野菜でもいい(野菜では“不揃い・規格外”があるが、品目は決まっているというような)。料理レシピはお届け日にメールで送ろう。BOXは例えば1カ月1万円までとプリペイド制度を導入すれば、顧客にとっては買い過ぎの予防線にもなり、ネットスーパーには販売計画が立つ。
ネットではOne to One、お客さまごとのサービスをするのが究極の姿。「あなたの好みを知っています。朝一番でとれましたから送ります」――こんな朝市ネットスーパーが欲しい。
関連記事
- 本は電子書籍か、印刷か――その答えは「Think Different」で
先週亡くなった、Apple前CEOのスティーブ・ジョブズ。彼が生み出したiPadやライバルのAmazonのKindleが届けてくれた電子書籍体験は、私たちに衝撃を与えた。今後、電子書籍はどのように私たちの生活に入り込んでくるのか。神保町を歩きながら考えてみた。 - 旅人を“丸抱え”――オンライン旅行会社エクスペディア、強さの秘密
月間ユニークユーザー7400万人、年間ホテル予約6700万泊を誇るオンライン旅行会社エクスペディア。スコット・ダーチスラグ社長にその強さの秘密を聞き、3.11後の日本への外国人旅客増のためのアドバイスももらった。 - なでしこJAPANがもっと強くなるように、4つの施策を考えてみた
女子ワールドカップで劇的な優勝を果たしたなでしこジャパン。テレビ番組などでの露出が増えたり、国民栄誉賞が与えられたりするなど、人気がフィーバー状態となっているが、この盛り上がりを一過性のものにしないようにするためにはどうすればいいだろうか。 - 郷好文の“うふふ”マーケティングバックナンバー
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.