モロッコの良いところを伝えるために――雑貨オンライン販売「ディアモロッコ」:世界一周サムライバックパッカープロジェクト(4/4 ページ)
モロッコの雑貨を日本にオンライン販売するディアモロッコ。同社の宮本薫代表は、学生時代、ふとしたきっかけからモロッコを訪問。その良さを伝えるために情報サイトを作り、運営を続けてきたことが現在につながっているということです。
海外で暮らすことではなく、何をするかが大事
――今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。
宮本 2012年から新事業をスタート予定で、つい先日手続きが終わりました。また、創業時から取り扱っている手織りのラグ&カーペットの販売について、2012年は力を入れたいと考えています。
ディアモロッコというWEBサイトをスタートした時の初心である「モロッコの良いところを伝えたい」と言う気持ちを大切に、少しずつ育てて行きたいと思っています。
2011年にはマラケシュのガイドブック『モロッコのバラ色の街、マラケシュへ』を出版しましたが、将来、観光に限らず、より広い観点からモロッコを紹介する本を書くことが目標です。
モロッコは私が来てからの十数年の間に急激に変化しました。さらに10年後にまた変わってしまうであろう文化や習慣をできるだけ見て、書き残したいと思っています。
――最後に、日本の若者にメッセージをお願いします。
宮本 世界中にはさまざまな価値観の国や地域があります。自分がいたいと思う場所で暮らす自由を手に入れるために、少なくとも英語を身に付けておくと良いと思います。
会社を始める、どこかの国に住んでみるなど、新しいことを始める場合、「続ける」ことが大事です。山あり谷ありなので、あきらめたくなることもありますが、粘り強く続けていると、良いことが必ず訪れるように思います。
起業や海外暮らしは、最初の数年であきらめてしまう人も多いので、「経験を積む」というそれだけのことにも価値が生まれ、チャンスが生まれます。
海外で暮らすということ自体が目的になっている人もいますが、海外の暮らしも毎日の生活の積み重ねですから、半年もすると平凡な日常になります。
外国語も単なる道具で「何を話すかが重要」と言われるのと同様、海外で暮らすこと自体ではなくて、何をするかが大切だと思います。
英語を話せるだけなら、米国のホームレスと同じ
“海外で暮らすこと自体が目的になっている人”への適切なメッセージは共感します。ただ暮らすのではなく、やはりその土地で働いてみて見えてくる面白さもあるのではないかと思います。そのためにはやはり、言語能力だけではないほかのスキルが必要なんだろうなと痛感します……。
前に聞いた言葉ですが、「英語を話せるだけなら、路上で寝ている米国のホームレスと一緒」という言葉があります。正確には米国人のホームレスは日本語を話せないでしょうから、日本人が英語を身に付ければ彼らより優位性はありますが、それでも翻訳家や通訳などの特別領域までいかないと、言語能力だけで職をつかむのは難しい時代なのだと思います。いろんな人が言いますが、やはりスキルや経験値というのは重要なのだと改めて実感します。
また、宮本さんはモロッコ関連の書籍の執筆活動も行っており、すでに日本におけるモロッコの第一人者です。そんな宮本さんでもモロッコのことが嫌になったりした時期があったとは驚きました……。
ですが、宮本さんは「続ける」ことで、モロッコの良さにも気付くことができ、今もこうしてモロッコに住んでいるそうです。
何事もそうですが、確かに宮本さんの言うとおり、「続ける」というのはとても大切なことなのだと思います。宮本さんも「続ける」ことを辞めていたら、今モロッコにはいなかったかもしれません。ディアモロッコもなかったかもしれません。でも、宮本さんが実際にいるのは続けたからなのでしょう。
僕自身も旅が終わった後に、海外での仕事や起業に強く興味を持っています。そんな僕も宮本さんを見習って、「続ける」ことを心掛けなくてはならないんだなと学ばせていただきました。
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