スターバックスに見るサービス品質6つの視点(3/3 ページ)
サービス品質の高さが評価され、多くのリピーターを獲得しているスターバックス。サービスサイエンスの「サービス品質6つの視点」を通して見ることで、サービス品質を高めるためのヒントを見つけたい。
重要なサービス品質は何かを考える
このように、基本サービス品質もサービスの種類やコンセプト、プロセスなどで、重要な品質が変わるというのが大変重要なポイントになります。
「スターバックスに学ぶ、顧客満足度向上のポイント」の要点の1つは「サービスの種類を定義する」というものでしたが、まさにこの定義次第で重要なサービス品質が変わってくるということを意味しています。特にスターバックスで有名なコンセプトである「サードプレイス」の実現においては、基本サービス品質としては「安心感」が最も重要な品質になるのではないでしょうか。
このように、高いCSを得るためには、6つの基本サービス品質の中で各々のサービスにおいて重要なサービス品質を見定めることが重要です。ただし、これも先日の記事で触れたように「CS向上の努力の方向」のうち、「失点をなくす」「得点を増やす」のどちらの努力をすべきなのかを考えた上で選択しなければなりません。
例えば、クレームがものすごく来ている状況で「得点を増やす努力」をしてもほとんど意味がないので、まずは「失点をなくす努力」をするためにはどのサービス品質を高めるべきかを議論する、といった具合です。
少し余談ですが、基本サービス品質の6つにはさまざまな特徴があることも分かっています。例えば感動サービスの実現の際に特に重要になるものや、サービスのプロセスの評価を高める際に重要になるものなど。こういった点や、基本サービス品質以外のサービス品質の種類については、また別の記事や別の事例を通してご紹介できればと思っています。
いかがでしょうか。「基本サービス品質」の6種類に着目して議論やサービス設計することで、ただ単に「サービス品質を上げろ」という指示を出すよりも、格段に何をすべきかが明確になるのではないでしょうか?
サービスにはまだまだ改善の余地が多く残されています。そういった部分に「サービスサイエンス」のような論理的な考え方を少しでも活用することで、大きな成果につながるケースが多く見られるようになってきました。ぜひこういった考え方が、組織的なサービス向上の役に立てば幸いです。(松井拓己)
関連記事
- スターバックスに学ぶ、顧客満足度向上のポイント
スターバックスといえば、大手コーヒショップチェーンの中でも顧客満足度の高さ、リピーターや愛用顧客が多いことで有名です。そこで、なぜスターバックスがファンを獲得して支持されるのかを、サービスサイエンスを活用して考えてみました。 - 最も好きなコーヒーチェーン店はどこ?
直近1年間で利用したコーヒーチェーン店はどこですか? コーヒーチェーン店を利用したことがある人に聞いたところ「スターバックスコーヒー」と答えた人最も多かった。マイボイスコム調べ。 - 店名も商品名も消えた――スターバックスがロゴを変える意図
新年早々、スターバックスがロゴの変更をすると発表した。「スターバックス」という店名も「コーヒー」という商品名も取り除き、真ん中の人魚「サイレン」だけを残す大胆な決断。発表するや否や否定意見があふれたが、そのウラにはスターバックスの経営上のロジカルな選択があった。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.