成功の反対は失敗ではない!? 跳ぶリスクと跳ばないリスク(2/2 ページ)
失敗は成功までの1つの過程であって、その経験知は成功の土台になるのでプラスの資産と言えるでは、マイナスの資産と言えるものは何になるのだろうか?
失敗の反対は?
さて、前置きが長くなりましたが、今日の概念工作です。まず、次の問いです。
「成功」の反意語は、果たして「失敗」でしょうか。そんな時、エジソンのこの言葉はとても重要なことを教えてくれます。
「私は失敗したことがない。うまくいかない1万通りの方法を見つけたのだ」
失敗は成功までの1つの過程であって、それによって得た経験知は、成功までの土台になりますから大切な「資産」です。成功によって得る獲得物も、もちろん「資産」。だから、成功も失敗も資産側に計上すべきプラス価値のものです。
では、対置するマイナス価値のものは何か? ──それは、「何もしなかったこと」。臆病心か怠慢心から、座してその機会を見送ったことです。
なぜ、私たちは「跳ぶ」(=何か行動で仕掛ける)ことに抵抗があるのでしょうか。それはリスクが怖いからでしょう。しかし、跳ぶことにリスクはもちろんありますが、同時に、跳ばないことにもリスクはあります。
「跳ぶリスク」と「跳ばないリスク」、どちらが大きいでしょう? そしてどちらが負うに値するリスクでしょう? 私が考えるのは次の図です。
成功にせよ、失敗にせよ、勇気を持って行動を起こせば、何らかの資産(獲得物、経験知、感動、自信、人とのつながりなど)が必ず蓄積されます。そして、その中に必ず次の行動の「種」が見つかる。そして、もっと「跳ぼう」と思える循環ができあがってくる。これが「勇者の上り階段」です。
逆に、何もしないことに安住すると、どんどん機会損失は増え、後悔は蓄積され、さらに臆病癖、怠慢癖が自分に染みつく。「臆病者の下り階段」が知らずのうちにできあがる。「跳ぶリスク」と「跳ばないリスク」。どちらが大きいか、どちらが負うに値するリスクか、答えは自明です。
こうした概念の工作を、企業内研修のプログラムに展開し、受講者のみなさんと一緒に「仕事・働くこととは何か?」について演習や討論をする。それもまた、私にとって楽しい作業です。(村山昇)
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