10万人以上が学ぶオンライン講座 米国発、人材育成の「マッシブ化」(2/2 ページ)
米国では社会人向けの人材育成の一環としてオンライン教育が定着していますが、人気講座になると10万人以上も受講者がいます。これは教育の「マッシブ化」と言われていますが、さらに詳しく見るとビジネス教育を大きく変えるインパクトがありそうです。
オトナの学びを変える「ソーシャル化」
もっとも、ベンチャーキャピタルから出資を受けたのは、単にオンライン教育で人がたくさんいるからではないでしょう。
それがマッシブ化のもう1つの側面、「教育のソーシャル化」です。受講者は単に一方通行で動画を見るだけでなく、フォーラムで意見交換をしながら学びを深めていくのです。
そして、この交流をうながす仕掛けとして、良い質問をした、良い回答をしたなど、コミュニティに貢献した人は「バッジ」と呼ばれるステータスを受け取れます。
すなわち、Web上のコミュニティで周囲に影響を与える「インフルエンサー」を発見し、囲い込むことにより、新たなビジネスモデルを構築するベースができていることがベンチャーキャピタルには魅力なのではないでしょうか。
10年の時を経て根付くMOOCs
最後に、キーワードと今後の展望を述べて終わります。
本稿では「マッシブ化」と言ってきましたが、本場米国ではMassive Open Onlineの頭文字を取って、MOOCs (MOO Courses)、MOOS (MOO Seminar)というのがキーワードになっています。
そして、上述のUDACITYは米国西海岸発のベンチャー企業ですが、東海岸ではMIT(マサチューセッツ工科大学)によるMOOCsの試み、MITx projectが進捗を見せているようです。
その原型となった、学校で教える教材を一般に開放する「オープンコースウェア」がすでに10年の歴史を持つことを考えると、MOOCsは一過性のものではなく、これからの社会人向け人材育成に大きなインパクトを持つと言えるのではないでしょうか。(木田知廣)
関連記事
- 上司の間違った命令には従うべきか?
先日、東京電力本店からの命令に背いて海水注入を続けた福島原発の吉田昌郎所長の処分が話題となった。これほどの大事件でなくても、現場の判断を優先させべきか、上司の命令に従うべきかで迷ったことがあるビジネスパーソンは多いだろう。この問題はどのように考えればいいのだろうか。 - 苦手な部下との面談をどう乗り切るか
部下を持つと、うれしい反面、いろいろと苦労も絶えない。特にパフォーマンスや意欲に問題がある人との面談は気が重くなるもの。そんな時に使えるのが「フィードバックのコンセントリック(同心円)・モデル」だ。 - 社内政治に絶対負けない法
組織の中で「正論」を通すためには、優秀な人ほど「論理思考で武装しよう」と考えがちです。でも、それでうまくいきますか? 筆者は、より重要なのは「社内政治に負けない力」だと主張します。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.