コラム
利用数100万件突破――パーク&ライドとスカイツリーの意外な関係:神尾寿の時事日想(3/3 ページ)
自社駐車場を使ったパーク&ライド事業を展開しているパーク24。SuicaやPASMOで駐車代がおトクになる、ということもあり、利用件数が順調に伸びている。今回は首都圏第1号となった幸手駅前駐車場を再訪、仕掛け人に話を聞いた。
また、駐車場ビジネスにおける"パーク&ライド効果"も現れているという。パーク24のモデルではパーク&ライドの料金割引原資を同社が負担しているが、このサービスを導入したことで対象駐車場の利用率が劇的に向上。さらに「パーク&ライドをご利用いただいたお客様のうち5割以上の方に、電車に乗らない(パーク&ライドを利用しない)時もタイムズ24の駐車場を選んでいただけるようになった」(岩渕氏)という。
パーク&ライドの最新利用状況。右上のタイムズ幸手駅前駐車場のグラフを見ると、パーク&ライドサービス開始により、PASMO / Suica電子マネーの利用が劇的に伸びたことがわかる。この"電子マネー利用促進効果の高さ"も、その後の各鉄道会社でのパーク&ライド導入の後押しになった(クリックすると拡大)
このように成功を収めたパーク24のパーク&ライドだが、今後はどのように進化していくのだろうか。
「利用件数100万件を突破しましたが、我々としてはさらにパーク&ライドを広げていきたいと考えています。まずは(パーク&ライド対応駐車場の)ロケーションを増やしたい。具体的には、300〜500くらいに全国に広げていければと考えています。また将来的には、タイムズクラブカードやタイムズプラスなど自社のサービスとの連携性をさらに高めていければと考えています」(岩渕氏)
クルマと公共交通の連携は、21世紀型交通モデルを模索する上で重要なテーマになっている。その中で、鉄道会社で広がるICカードを活用することで、成功例を築き上げたパーク24のパーク&ライドサービス。今後のさらなる展開にも期待が持てそうだ。
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