侍ジャパンが「プレミア12」で勝つために、NPBはしっかりせよ:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/2 ページ)
WBC3連覇失敗。その裏で繰り広げられた日本野球機構による数々の“怠慢プレー”が許されるならば、次の国際大会での侍ジャパンの優勝はおぼつかない。
チーム帯同の打撃捕手は1人だけという取り決め
もちろん、前日練習で立て続けに起こった「災難」が準決勝敗退の原因になったと断じることはできない。しかし主催者側の度重なる不手際にも目をつぶり、上層部を通じた抗議行動を一切起こさなかったNPBの姿勢に代表選手やスタッフたちが呆れかえったのは事実。野球の試合でいえば、自軍の選手が審判から明らかなミスジャッジを通告されたにも関わらず、ベンチの監督が何の抗議も行わないでそのまま「スルー」しているようなものだ。これでは選手たちが戦う前からヤル気を削がれてしまっても不思議ではないだろう。
現場を困惑させた点は、他にもまだある。「打撃捕手」の問題だ。主催者側の取り決めによって、決勝トーナメントでメンバー登録できる打撃捕手は1チームにつき1名。チームに打撃投手や打撃捕手が存在せず、主にバッティングマシンやコーチを相手に打撃練習を行う外国のチームには特に関係ないが、日本にとってこの取り決めは死活問題だった。
「打撃捕手が1人ではどう考えても足りないし、練習にならない。われわれが不満を口にすると、困り果てたNPBが代役の打撃捕手として用意したのは元野球経験者のNPB職員。チーム関係者としてパスが発行されている彼にマスクを被らせ、急場しのぎで打撃捕手を務めさせたのです。いくら経験者とはいえ、彼はプロではなく素人ですよ。もし練習中、ケガでもしたら大変な問題になっていたはず。NPBが大会前から主催者側に『日本の練習スタイルにおいて打撃捕手は絶対に必要』と念押ししておけば、主張が認められて改善できていた可能性が高い。ここでもNPBは“怠慢プレー”を演じていたのです。おかげで打撃練習のときは彼がケガをしないように周りが気を使ってしまって、集中できなかった」と侍ジャパンのスタッフは憤った。
そして準決勝で負けてから沸き起こった凄まじいバッシング――。実は、このバッシングを引き起こした遠因にもNPBの“怠慢プレー”が絡んでいるといわれている。重盗失敗に端を発して山本監督ら首脳陣へこれでもかといわんばかりに浴びせられた“集中砲火”に、ややヒステリックな感を覚えた人も決して少なくはないだろう。
「あれはメディアの『意趣返し』なんですよ。大会前から一部の首脳陣が、以前から評論家契約を結ぶなどして親しくしていた特定のメディアにだけ『スクープをやるよ』と重要な情報を流していた。これに情報を得られなかった多くのメディアが激怒し『負けたときには一斉に叩いてやろう』と裏で大同団結していたのです。私利私欲にかられて情報を流した首脳陣は『背信行為』と糾弾されて然るべきですが、こうした状況を把握していながら首脳陣に守秘義務を徹底させなかったNPBの怠慢な姿勢にも大きな問題があります」(球界関係者)
日の丸を背負いながら、陰でコッソリと私利私欲にかられて情報を漏えいする。とんでもないことであり、こんなスタッフは「代表永久追放」でも生ぬるい。懸命になっていた他のスタッフや選手たちの頑張りが浮かばれないだろう。
これに補足するならば、代表スタッフとして明らかに不適格の首脳陣を選出してしまった加藤良三コミッショナーを含めNPB上層部の責任も問われるべきではないだろうか。「3連覇失敗は、すべて首脳陣と選手が悪い」では済まされない。
「事なかれ主義」「究極の全方位外交」――。NPBの曖昧な姿勢に対する批判は以前から後を絶たない。侍ジャパンの3連覇失敗を無駄にしないためにもNPBは大いに反省し、組織として世界に対抗できる強い代表チーム作りをしていかなければならないはずだ。日本で行われる次回の国際大会「プレミア12」(WBCの中間年に行われる国際大会)の開催は2015年だけに、その猶予は残り少ない。
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