イマドキの新入社員はとても優秀――テンプレ就活生と問題解決能力:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)
4月に入り、新卒採用が本格化しています。最近増えているのが、良くいえば情報収集や処理に長けた、悪くいえば「ネットで答えを探して乗り切」ろうとする就活生。今回は新卒採用で注目される「問題解決能力の差」についてこっそり書いてみます。
その中で浮かび上がってきた「テンプレ就活生」問題。問題解決能力の一つである「誰かに聞いて、もしくはネットで検索して、正解を出す」という方法では乗り切ることができないアセスメント方法を、企業は導入しようとしています。考えてみれば当然でしょう。ビジネス社会で直面する問題の多くは、正解があるものばかりではない。調べても分からないこと、人に聞いても解決できないことも少なくない。そんな難題を乗り切るポテンシャルがあるかどうかを、就活生から見い出したいのです。同時に、テンプレを活用したら通過するいまのアセスメントシステムでは、優劣の見極めが困難になってしまって、選考方法そのものが形骸化しはじめているといっても過言ではないでしょう。
テンプレすら活用できない、つまり「もっともらしい」「正解と喧伝されている」エントリーシートも書けない就活生は、最初から問題外という時代になってしまった昨今。それに気がついていない就活生は、どんなに頑張っても上手くいかないということになりはじめています。そう書くと「画一化推奨反対」とか「金太郎飴を作りたいのか」とお叱りを受けそうですが、別にテンプレを使うことが良いというわけではありません。オリジナリティ溢れる回答は素敵です。けれども、最低限求められていることを「最初から無視して」の独自性は「求められていることを満たしていない」時点でダメなのです。そこに気がついていない就活生や、就活支援をするアドバイザーが多く、結果として就活生を迷わせてしまいます。
テンプレでも通過できる選考だけでなく、自分の頭で考えなければ解決できない問題が用意され、それに挑むという選考方法で就活生は「一層フルイにかけられる」と状況が、それこそ正解なのかどうかはわかりません。が、優秀な新入社員が生まれている昨今の状況を見ると、正常進化しているのかもしれないと期待したい今日この頃なのです。このコラムを読んで「ウチの新入社員は全然優秀じゃない」と思ったあなたは、自社の採用担当者の能力を疑ってもいいかもしれません。だって、工夫次第な時代なのですから。
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