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インタビュー

思い出を“本”にする――「やりとりbook store」ディレクターインタビュー(2/4 ページ)

オカンから来る誤字脱字だらけのメール、恋人との他愛のない日々のやりとり……携帯電話の中にだけある記憶を、本という形で残せるサービス「やりとりbook store」とは? 原案者の河野透さんに話を聞いた。

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「思い出」を、今できるやり方で形にする


原案者/クリエイティブディレクターの河野透さん

――やりとり book storeは4月2日にサービスを提供し始めたばかりですよね。いつ頃から開発していたんですか。

河野 1年前の3月16日ですね。ほぼ1年かかったことになります。

――そもそも、どういういきさつでこのアプリができたのでしょう。

河野 社内の公募があったんです。「ロボットとして何か新しいサービスをやりたい人はいますか?」と。他の人のアイデアは動画系とかWeb系が多かったんですが……(メールのやりとりを本にするという)アイデアが1位をとったので、やろうということになりました。実は、ROBOTとして新しいサービスを出したのはこれが初めてなんです。今までも(アプリやサービスを)作っているのですが、クライアントから発注されたものを作っていたので。

――なるほど。動画や、エンターテインメント系のコンテンツの印象が強いので、「やりとりbook store」の話を聞いたときに「ロボットのサービスとしてはちょっと意外だな」と思ったんです。どういうきっかけで思いついたのですか。

河野 東日本大震災のとき、被災した人達が一番探していたのが、思い出が詰まっているアルバムでしたよね。1年以上経っても(アルバムを探す人や思い出探しの手伝いをするような支援が)ニュースになっているのを見て、「時代がどんなに変わっても、人の思い出の価値って変わらないんだな」と思ったのです。

 それと……写真は、その瞬間を目で見る記録です。写真だけ、目で見たものだけじゃなくて、そのとき人が思っていたことや感じていたことを記録として残せたらいいな、って。そういうものを残せるようにして、新しい価値を作りたかった。あと、若者世代だけじゃなく、オカンとかおばあちゃんとか、メールを使う世代がすごく広がってるじゃないですか。そういう人たちも入れて、価値作りができればいいなと……今ならそれができると思いました。

――そこがフォトアルバムサービスと違うのですね。

河野 はい、出発点はまったく違うんです。利用シーンとして最初に思いついたのが、孫とおばあちゃんとのやりとりだったんですよね。うちのオカンが携帯でメールをくれるんですけど、誤字脱字とかそのまんまで送ってくるんですよ。あれ、面白いなって。

――あー、分かります。お母さんって句読点ナシとか全部ひらがなとか、真似できないメールを送ってきますよね。河野さんのお母様はおいくつくらいですか?

河野 60くらいです。あの誤字脱字そのまんまのケータイメールをそのまま残すサービスができたら面白いな、と。それって、20年前だったらなかった、今だから作れるサービスじゃないですか。若者同士というよりはむしろ、こういう使い方を想定していました。

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