橋下市長どころではない!? カナダにもいた「暴走」市長:伊吹太歩の世界の歩き方(2/5 ページ)
「東洋人は……」と暴言を吐くトロント市長が、橋下騒動と同じ時期に窮地に。ネタ元から2000万円でビデオ提供をほのめかされたニュースメディアがとった金策手段とは?
フォード市長のスキャンダルを収めた20万ドルのビデオ
フォード市長は、もともと人種差別的な発言などの失言や問題行動が多いお騒がせ人物として名高い。だが今回の騒動は、橋下市長の問題発言なんてレベルではない。フォード市長が、まさに犯罪を犯す決定的証拠とされるビデオの存在が明るみになったのだ。そのニュースは、北米を中心に騒ぎを巻き起こした。
ことの発端は、日本メディアが橋下発言で大騒ぎしている同じころ、米国に本部があるゴシップサイト「Gawker(ゴウカー)」が衝撃的な記事を掲載したことだった。
2013年5月16日のその記事には、「トロント市長ロブ・フォードがコカインを吸引(参照リンク)」とのタイトルが付けられている。記事によれば、同サイトの編集長がコカインを吸引するフォード市長の姿を撮影したビデオについてのタレコミを受けた。その情報源はさらに、証拠として麻薬の売人とフォード市長が一緒に写っている写真を提供した。
そこに写った「フォード」の外見は限りなく本人であり、服装からもその裏付けがとれた。というのも、編集長は、フォード市長が過去に同じパーカーを着ている姿を新聞社が撮影していたことを確認したからだ。
そして編集長は、トロントで麻薬の売買に関わる情報源と会い、ビデオを検証した。そこにはコカインでテンションの上がったフォード市長の姿が映っていた。だがここで大きな問題が浮上する。ネタ元は、20万ドル(約2000万円)でビデオを買い取るよう要求したのだ。その理由は次のようなものだった。ビデオを提供することで自分のことはそのうちばれるし、もうトロントとその周辺には住めなくなる。人生をやり直すための資金が必要だ、と。
言うまでもないが、20万ドルは大金である。実はこのネタ元、地元の大手日刊紙であるトロント・スター紙の記者2人にもこの映像を見せていた。この記者2人もビデオに映っているのはフォード市長だと証言している。本人の可能性はほぼ間違いない。だがそんな大金を払うことは難しい。トロント・スター紙も、金銭面で折り合いがつかなかったとみられている。
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