誰が当選するのか? それは「エリア分析」が教えてくれる:仕事をしたら“選挙の勝ち方”が見えてきた(前編)(5/6 ページ)
「選挙プランナー」と聞いて、どんなイメージがあるだろうか。多くの人は「候補者を当選させるプロ」などを想像するかもしれないが、仕事内容を詳しく知る人は少ないのでは。そこで選挙プランナーとして活躍している、株式会社アノンの野沢高一氏に話を聞いた。
土肥:なるほど。AとB地区のインフラは整備されているので、住民に不満はありません。特に何かを変えたいというエネルギーがないので、ここからは立候補者は出ませんでした。ということはC地区の市長が、地元にじゃんじゃんお金を回して、「やれ道路だ、やれ橋だ、やれコミュニケーションセンターだ」といった感じでどんどんつくっていけば、やがてC地区の住民はお腹いっぱいになりますよね。そうすると、次にD地区の候補者にチャンスがめぐってくる、ということですか?
野沢:まあまあ落ち着いてください。もう一度、下の図を見ていただけますか?
野沢:ある日、F地区にバイパス道路ができます。その周辺にはマンションや家が建てられ、そして大型のショッピングセンターができます。そうすると、このF地区に近隣住民が住み始めるんですよ。X市に住む次男や三男が結婚して、郊外に住み始める。そうすると、F地区に住む人たちからこんな疑問の声があがってきます。「なぜC地区の予算は多いんだ? これはよくない! 自分たちが住むところは、まだまだ整備されていないところが多いのに」と。
そうした不満の声をくみとったD地区の候補者は、F地区の住民から支持を得て、当選することになるんですよ。
土肥:ほほー、今度はDとFが手を結ぶわけですね。野沢さんの話を聞いていると、心当たりのある街を想像しました。市役所と駅が少し離れていて、郊外にショッピングセンターがあって……あるある。
野沢:で、さらに分かりやすく言うと、C地区の候補者は「保守派」、D地区の候補者が「革新派」ですね。保守派の現職または後継指名をした新人(保守派)が当選すると、まだC地区を開発することが票になる、ということ。逆に、C地区で後継指名をしなかったり、後継指名をした人が負けてしまうと、それまでのやり方を変えたいと思っている人が増えてきた、ということですね。
土肥:ふむ、ふむ。
関連記事
- 再び始まるマスコミの“安倍晋三バッシング”、なぜ?
衆議院の総選挙は、自民党の圧勝で終わった。この結果を受け、筆者の窪田氏は「また始まるのかあ」とウンザリした気持ちになったという。「また始まる」のは自民党政権ではなく、マスコミ各社による“安倍晋三バッシング”だ。 - 何が問題なのか? メディアにころがる常識
メディアが構造的な問題に苦しんでいる――。購読部数の減少、広告収入の低下などさまざまな課題が押し寄せているが、解決の糸口が見えてこない。こうした問題について、ジャーナリストの津田大介氏と社会学者の鈴木謙介氏が語り合った。 - 朝日新聞が、世間の感覚とズレにズレている理由
気鋭のジャーナリスト、上杉隆氏、相場英雄氏、窪田順生氏の3人が、Business Media 誠に登場。「政治評論家に多額の資金が渡った」と指摘されている官房機密費問題や、メディアが抱える問題点などについて語り合った。 - “でっち上げ記事”を書かれたら、どうすればいいのか
週刊誌を中心に、でっち上げ報道に苦しめられた前横浜市長の中田宏氏。事実ではない記事が相次いで掲載されたが、そんな状況に対し、彼はどのような対抗手段をとってきたのか。人気ブロガーのちきりんさんと語り合った。 - 橋下市長どころではない!? カナダにもいた「暴走」市長
「東洋人は……」と暴言を吐くトロント市長が、橋下騒動と同じ時期に窮地に。ネタ元から2000万円でビデオ提供をほのめかされたニュースメディアがとった金策手段とは? - 仕事をしたら○○が見えてきた・バックナンバー:
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.