あなたの仕事は、誰かの「困った」を「良かった」に変えていますか?:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)
子どもの頃「大人になったら何になりたい?」と聞かれたことはありませんでしたか。また就活生から「働くってどういうこと?」と問われたら、あなたは何と答えるでしょうか。今回は“仕事の本質”について考えます。
大人になったら、皆さんは何かに「なれました」か?
周囲の大人は「大人になったら何になりたい?」と、周囲の子供に安易に質問します。しかし、自分を振り返ってみてください。何かになれたのでしょうか。医者になりましたとか、弁護士ですとか、パティシエになりました、サッカー選手になりました、という人はいいでしょう。会社経営者です、という人も「何かになった」という実感はあるかもしれません。しかし、会社員ですという人は、何かになったという手応えはそれほど大きくない。裏を返せば、子供になりたいものを尋ねたときに「会社員」とか「公務員」と答えられたら「なんだ、夢がないな」と言う人が少なくないはずです。
なりたいもの、という台詞。子供が幼い時期、つまり可能性が溢れている時期での問いかけとしては「仕事」や「働くこと」への興味関心を持たせる意味としてアリだと思います。しかし、ある程度「現実が見えてきた」つまり「夢は見ているだけではかなわない」と理解できる時期に、このフレーズを使うことは避けるべきです。事実、仕事や働くことに夢がないと話す中学生たちの多くは、なりたいものがない、とも話すのです。
多くの大人たちは「何かになること」が、仕事や、働くということとイコールではないことを分かっています。しかし、これから進路を考えようとしている子供たちは、その辺りがうまく理解できていないのです。
ですから、私は「働く=何かになること」ではない、と説明します。だから、なりたいものがなくても安心してほしいと話すのです。実際、そう言うと子供たちは安心するようです。講演後にいただいた感想を見ていると「何かにならなければならない、とずっと考えていたけれど、そうじゃないと聞いてホッとした」とか「なりたいことを見つけろと言われていたけど、見つからなくて困っていた。だからなりたいことは考えなくていいと今日聞いて、良かったです」という安堵の言葉が並んでいます。では、働くこととは何か、という肝心なことを、私はこんな風に答えます。
「誰かの困ったを良かったにする、それが仕事だし、働くということです」
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