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米ネット監視システム「PRISM」を暴露した人物、実は中国のスパイかも?:伊吹太歩の世界の歩き方(1/4 ページ)
突然、暴露された米政府のネット監視システム「PRISM」の存在。その対象には日本人も含まれている。それにしてもリークした元CIA職員は英雄なのだろうか?
著者プロフィール:伊吹太歩
世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材し、夕刊紙を中心に週刊誌や月刊誌などで活躍するライター。
最近、米政府によるネット監視が明らかになって、世界中で大騒ぎになっている。米国家安全保障局(NSA)が、世界中でメールなどから個人情報を閲覧していたことが暴露されたのだ。
米政府も、「テロ行為を未然に防ぐ目的で行っていた」とこの暴露について認めている。具体的な証拠を叩き付けられて認めざるを得ない状況に追い込まれたからだが、これはまさに米政府の自爆テロにも近い。関わった大手ネット企業も巻き込んで、批判の矛先を分散させている。
米政府がネットで世界を監視していたことは、世界のサイバー空間における状況をひっくり返すほどの「破壊力」をもつ暴露だといえる。
すべては英ガーディアン紙が、「NSAがベライゾンやAT&Tなどの米通信大手企業から通話記録を令状で入手していた」と報じたことが始まりだった。すると直後に、ガーディアンと米ワシントン・ポスト紙が、「NSAは、PRISM(プリズム)と呼ばれる監視・閲覧機能を使って世界中のメールなどを閲覧している」と報じた。その後、この情報を提供した元CIA(米中央情報局)職員エドワード・スノーデンが顔出しで登場。騒ぎは収集がつかない状況に陥っている。
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