ネットはマスメディアより強し!? 世界のネット選挙運動はどうだ:伊吹太歩の世界の歩き方(3/4 ページ)
2013年夏の参議院選挙から日本でも解禁になったネット選挙運動。ところで、日本の「先輩」にあたる世界各国でのネット選挙運動の現実とは?
英国の若者はネット上で議論し、豪州の候補者は資金の4割を投入
英国では2010年の総選挙がネット選挙運動の大きな契機になった。その2年前のオバマによるムーブメントを目の当たりにした英国の有権者は、ネットで政治的な議論が活発になり、国民の声がそれまで以上に反映させるかもしれないと期待する雰囲気が広がっていた。英国史上初のネット選挙といわれた。
選挙後、英国の主要メディアでは「ネット選挙運動の効果はなかった」、または「限定的だった」とする論調が目立った。というのも、実はこの選挙では史上初めて党首によるテレビ討論会が行われたこともあって、そちらに注目が集まったからだ。だが現実には、ネットの影響力は大きかった。
選挙後に行われた大規模な調査では、18〜29歳の実に97%が投票に向けてネットを活用していたことが分かったのだ。そのうちの6割はネット上でのディスカッショングループなどに参加しており、若者はネット上で選挙戦に「参加」していたのだ。
南半球に目をやれば、オーストラリアでは2007年の連邦議会選挙から本格的にネットによる選挙運動が行われた。オーストラリアでは18歳以上の有権者は投票が義務づけられており、正当な理由がないのに投票に行かなければ20オーストラリアドル(約1800円)の罰金を支払わないといけない。ちなみに罰則を伴う投票義務がある国は、シンガポールやベルギー、スイスやキプロスなどがある。
選挙戦では、TwitterやYouTubeなどで候補者や政党が情報をどんどんアップデートし、メディアがそれらを重要なソースとして活用した。候補者の多くが、選挙資金の4割ほどをネットでの活動に使った。ちなみに新聞と有権者が同じソースにアクセスできるなら、新聞の影響力が落ちるのは当然だ。
オーストラリアでも日本と同じく、特定の候補者をネット上で「支援」する場合は、名前を明記する必要がある。日本ではネガティブな中傷メールなどを防ぐため、候補者による電子メールによる選挙活動は禁止される。オーストラリアでも同じような懸念が議論されているが、まだ規制するにはいたっていない。
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