なぜ政治家の話はイマイチなの? スピーチの基本を学ぶ:知っておきたいニュースな言葉(1/3 ページ)
政治家の演説を聞いて「退屈だなあ」と感じたことはないだろうか。これは政治家だけでなく、ビジネスパーソンでも同じことが言える。プレゼンが上手な人と、そうでない人では何が違うのか。政治家や経営者のスピーチをトレーニングしている達人に話を聞いた。
2人のプロフィール
大手町先輩:経営戦略室のエリート社員で、マコの先輩。とにかくいろいろなことに詳しい。なぜか、たまに関西弁でしゃべる。
マコ:大企業の経営戦略室で、大手町先輩のアシスタントとして働く。社会人1年目。時事問題にめっぽー弱く、社会人としてはまだまだ。先輩から何を言われてもへっちゃらな性格。
マコ:大手町先輩、なにか面白い話、してくださいよー。
大手町:い、いきなり、どうしたの?
マコ:参院選が近づいているじゃないですか。政治家のセンセーが街頭演説をしていたので聞いてみたんですが、話がつまらなくて、つまらなくて……。
大手町:退屈な話をする政治家っているよね。そうだっ! 僕の知り合いに政治家のスピーチをトレーニングしている人がいるんだ。彼女の名前は岡本純子さん。電通PRという会社で働いているんだけど、彼女の話を聞きに行こうか? 僕たちも人前でプレゼンをする機会があるし、上手に話をするコツを聞きに行こうよ。
マコ:わーい、大手町先輩にデートに誘われた!
大手町:違っ!
「話し方」「話す内容」「動き方」をチェック
大手町:岡本さん、今回の参院選からいわゆる「ネット選挙」が始まりました(関連記事)。正確に言うと、ネットを使った選挙活動が可能になったわけですが、これまでと違って政治家のスピーチを動画サイトなどで見る人が増えたのではないでしょうか。
岡本:でしょうね。有権者の中には政治家のスピーチを見て、「この人に投票しよう」という人が出てくるかもしれません。そう考えると、たどたどしく話している政治家は“不利”になりますよね。そうならないように、私たちはスピーチの基本を伝え、「パフォーマンス力」「アピール力」といったものを支援しています。
大手町:具体的にはどんなことをされているのですか?
岡本:トレーニングは「話し方」「話す内容」「動き方(ジェスチャー)」――この3つに力を入れています。政治家には会議室に入ってもらって、自己紹介をしてもらう。そこでその人の“クセ”を見抜いて、どのように改善すればいいのかといった話をします。
例えば「話す内容」では、個人的に経験したことやエピソードなどを盛り込むと聴衆の興味を引きやすいので、そうした話をするようにアドバイスしています。「動き方」では、手の位置やマイクの持ち方などをチェックします。身体の前で、手を合わせていると、どうしても小心者に見られがち。そうした人には、もう少し上のほうにもってきたほうがいいのでは、といった話をします。
またパーソナル分析をして、派手な人には「もう少し地味にしましょう」、地味な人には「もう少し派手にしましょう」といった感じでアドバイスしています。とにかく細かく分析して、政治家のキャラに合わせていいところを引き出すようにしています。
関連記事
- 「ネット選挙」ってナニ? 投票率が下がるかも、という声も
次の参議院選挙から「ネット選挙」が解禁になりますが、有権者はナニができて、ナニができないのか。7月4日の公示日前に、確認しておきましょう。 - 誰が当選するのか? それは「エリア分析」が教えてくれる
「選挙プランナー」と聞いて、どんなイメージがあるだろうか。多くの人は「候補者を当選させるプロ」などを想像するかもしれないが、仕事内容を詳しく知る人は少ないのでは。そこで選挙プランナーとして活躍している、株式会社アノンの野沢高一氏に話を聞いた。 - 再び始まるマスコミの“安倍晋三バッシング”、なぜ?
衆議院の総選挙は、自民党の圧勝で終わった。この結果を受け、筆者の窪田氏は「また始まるのかあ」とウンザリした気持ちになったという。「また始まる」のは自民党政権ではなく、マスコミ各社による“安倍晋三バッシング”だ。 - 何が問題なのか? メディアにころがる常識
メディアが構造的な問題に苦しんでいる――。購読部数の減少、広告収入の低下などさまざまな課題が押し寄せているが、解決の糸口が見えてこない。こうした問題について、ジャーナリストの津田大介氏と社会学者の鈴木謙介氏が語り合った。 - “でっち上げ記事”を書かれたら、どうすればいいのか
週刊誌を中心に、でっち上げ報道に苦しめられた前横浜市長の中田宏氏。事実ではない記事が相次いで掲載されたが、そんな状況に対し、彼はどのような対抗手段をとってきたのか。人気ブロガーのちきりんさんと語り合った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.