なぜ政治家の話はイマイチなの? スピーチの基本を学ぶ:知っておきたいニュースな言葉(2/3 ページ)
政治家の演説を聞いて「退屈だなあ」と感じたことはないだろうか。これは政治家だけでなく、ビジネスパーソンでも同じことが言える。プレゼンが上手な人と、そうでない人では何が違うのか。政治家や経営者のスピーチをトレーニングしている達人に話を聞いた。
話が上手な政治家の特徴
大手町:なるほど。でも政治家って、講演会で話をしたり、街頭で演説をする機会が多いですよね。人前で話をするのが慣れているはずなのに、えと、えと……。
マコ:どうして話がつまんないんですか? (きっぱり)
岡本:「今日のワタシは、朝ごはんを食べて、顔を洗って、なんとかをして、なんとかをして〜」といった感じで、結論を言わない政治家がいますよね。こうした話し方をしている人は、聴衆の心をつかむことが難しい。
マコ:います、います。「このオッチャン、なに言ってるんだろう?」って。
大手町:こ、こら、オッチャンって……(汗)。
岡本:話が上手な政治家は、「場」を支配するんですよ。
大手町:「場」を支配?
岡本:聴衆の前で話をするときって、反応が気になりますよね。「オレの話、伝わっているかな?」といった感じで。でも気になったまま話をしていても、気分がのれないまま終わってしまうことがあります。
そうならないためには、自分のゾーンに持っていくことが大切。ゾーンというのは、自分がその場をコントロールしているような精神状態になることですね。聴衆の前で、なかなか自分のゾーンにもっていけない人には、そうしたスキルを身につけるようにアドバイスしています。
例えば、ある政治家は地元でこのような話をされていました。「私はこの街で生まれ育って、大学時代は駅前にあるカラオケボックスでよく歌を歌っていました。十八番は、山崎まさよしさんの『One more time,One more chance』。○○党にも“One more chance”をください」と。上手ですよね。自分が本当に伝えたいことを語る前に、つかみを入れる。そうすることによって「場」を支配されていました。
マコ:政治家のスピーチといえば日本よりも、欧米の人のほうが上手な気がしますね。
岡本:欧米では小さいときから、人前でどうやってしゃべって、どう魅了して、どう人を動かせばいいのか――といったことを学んでいる。そうした教育……日本では受けていませんよね。
マコ:いません、いません。
岡本:欧米の大学ではプレゼンの方法を勉強しますし、社会人になっても徹底的に教わります。なので欧米の社長って、スピーチが上手ですよね。
マコ:です、です。
岡本:欧米人に比べて、日本人はスピーチ力が劣っていると認識したほうがいいですね。これは政治家だけに限らず、これからのグローバル社会の中で、ビジネスパーソンにも必要なスキルと言えるのではないでしょうか。
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