コラム
動き出す消費増税と社会保障改革、安倍首相が歩むいばらの道:藤田正美の時事日想(2/4 ページ)
予想どおり自公の圧勝で終わった参議院選挙。ねじれが解消したとはいえ、安倍首相の前にはどれも一筋縄ではいかない問題が山積している。
TPP参加交渉にしても農業団体を中心に相変わらず反対論が強い。自民党の比例区候補で2番目に多い約34万票を集めた山田俊男氏は、元JA全中役員でもちろんTPP反対派だ(ついでにいうと原発再稼働にも反対である)。こういった反対派の議員(もちろんその後ろには全中などの組織がある)をどうやって説得するのかは、まだこれからの話だ。
消費増税のためのスケープゴート探しが始まる
その中でも最大の問題は、消費税の引き上げだろう。2014年4月と2015年10月の2回に分けて引き上げられることになっているが、その最終的な判断はこの秋だ。国政選挙が後3年はないということになれば、ある程度安心して国民に不人気な政策もやれるかもしれない。
ただそのためには、日本の借金の状況や、毎年の赤字の状況を事細かに国民に説明しなければなるまい。そうすると国民から必ず出てくるのが、余計な予算を削るべきだという議論だが、そのための目玉をどこにするか。分かりやすくいってしまえば、スケープゴートをどこにすればいいかを巡って、与党内や霞ヶ関の間で駆け引きが行われる。
すでに内閣参与の浜田宏一元イェール大学教授(参照記事)は消費税引き上げに慎重な意見を表明している。こうした雰囲気が強くなればなるほど、スケープゴートを見つけようとする政権側と何とかそれを逃れようとする霞ヶ関側という構図ができるだろう。しかし消費税を巡る議論に参加するのは国内の関係者だけではない。最も影響力があるのが海外の投資家だ。
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