なぜ審判に大金を払うのか――サッカー界の裏事情を分析してみた:公認会計士まーやんの「ロジカるつぼ」(後編)(2/2 ページ)
ICPO(国際刑事警察機構)主催の会議で、サッカー界における八百長の防止対策が議論されました。不正の多くは審判の買収により行われているようです。今回は、なぜ大金を払ってまで審判を買収するのか、またその対応策を考えてみましょう。
八百長を根絶するための対策とは
では、このような八百長を根絶するためには、どんな対策が考えられるでしょうか?
動機やプレッシャーの芽を摘むには、犯罪組織のマネーの動きを食い止める国際的な働きが必要になるでしょう。ICPO(国際刑事警察機構)が今回の会議を開いたのも、そういった目的があったはずです。例えば通報者への報奨制度を導入することで、違法賭博サイトや八百長の摘発は非常にやりやすくなります。
2つ目の機会については、まず「どの試合にどの審判員がつくのか?」を事前に悟られないことが大事です。審判員のアサインを機密情報として扱うための具体的手法はいくらでもあります。さらには、審判員が外部と接触しないように試合前数日間の行動を規制することも必要になるかもしれません。
正当化については、組織犯罪に対しては非常に難しいものがあります。先に述べた2つの対策を通じて、八百長へのやる気を削いでいくのが一番現実的なのではと思います。
私たちはスポーツを楽しむとき、何に感動するのでしょうか? トッププロのスーパープレーや強豪チームを打ち負かす番狂わせ。それらの根底にはやはり、フェアプレーの精神が根付いています。お互いが汚い手段を使わず正々堂々とプレーすることが前提としてあるからこそ、私たちはスポーツを心置きなく満喫できるわけです。
世界的な広がりを見せるサッカー人口。サッカーそのものが興行として非常に大きな規模になっている今、その「フェアプレーの精神」をより強固なものにするためには、精神論だけでなく、しっかりとした仕組みを構築すべきなのではないかと、私は考えます。(眞山徳人)
※この記事は、誠ブログの公認会計士まーやんの「ロジカるつぼ」:八百長はなぜ起こるのか?サッカー界における「不正のトライアングル」 2/2より転載、編集しています。
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