日本人所有の零戦が日本に「帰還」できない理由:伊吹太歩の世界の歩き方(1/5 ページ)
現存する飛行可能な零戦を日本の財産として帰国させる動きがある。しかもそれは日本人が所有しているというのだ。だが、なかなか前進しないのはなぜなのか?
著者プロフィール:伊吹太歩
世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材し、夕刊紙を中心に週刊誌や月刊誌などで活躍するライター。
今、「零戦」の注目度が上がっている。宮崎駿監督の映画『風立ちぬ』は、零戦開発者がモデルであり話題になっていることがその理由だ。
日本の「ものづくり」の原点とも言われる零戦(正式名は零式艦上戦闘機)は、第二次世界大戦時に三菱重工業が製作。高速飛行や長距離飛行、さらに高い運動性能で、当初は世界一の戦闘機といわれた。当時1万機が作られたが、70年近くが経った今、現存する零戦は数少ない。
実際に飛行できる本物の零戦を日本人が所有している
そして現在、実際に飛行できる零戦は世界にたったの4機しか存在しない(レプリカは除く)。マイクロソフトの共同設立者で戦闘機コレクターとしても知られるポール・アレン氏、米カリフォルニア州の飛行機コレクターであるスティーブ・ヒントン氏、航空ショーなどを主催する団体であるコメモラティブ・エアフォース(CAF)がそれぞれ1機ずつ所有している。
そして残りのもう1機(22型)は、日本人が所有している。他の機体よりも最も「本物」に近い飛行ができると呼び名も高いその1機は、ニュージーランド・クライストチャーチ在住の日本人、石塚政秀氏が所有する。
そもそも現存する飛行可能な零戦のほとんどを米国人の所有しているというのも悲しい話ではないか。だが石塚氏が所有する1機も米国で登録・保管され、日本への「帰還」は果たせないでいる。だが石塚氏はその零戦を、何とか日本に里帰りさせようと奔走している。
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