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米国がシリアを攻撃すれば日本経済にも影響が出る:藤田正美の時事日想(3/3 ページ)
シリアの内戦で化学兵器が使われた可能性が濃厚になった。誰が何の意図をもって使ったのかは定かではないが、米国はシリアに対して懲罰攻撃を行うという。
シリア近辺の混乱は欧州だけでなく日本にも影響が出る
とりわけ影響を受けるのが欧州、そして日本や中国を始めとするアジアの新興国である。もちろん世界の経済は大きく後退する。もちろん米国もそれを心得ているから、極めて限定的な攻撃であることを再三再四明らかにしている。しかし国際政治の力学は世界最強の国が望んだ方向に行くとは限らない。実際、アラブの春で引き起こされた混乱は、いまだに続いている。それにイラクやアフガニスタンは米国が望んだ状態とはほど遠い。
シリア問題がどう動くかは来週に持ち越された形だが、どう転んでも、世界にとって望ましい方向に動くことは難しいだろう。皮肉なことに、シリアの内戦が一進一退で続いている状態のほうが、中東にとっては「安定」していると言えるのだろうか。化学兵器を放っておくわけにはいかない。しかしシリアに足を取られたくない。オバマ政権にとってはジレンマだ。そして拳を振り上げた以上、もしそれが議会によって否定されたら、イギリスのキャメロン首相同様に、オバマ大統領の外交舞台での影響力もかげってしまう。
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