バーナンキ議長の後任はやっぱりバーナンキ? 米中央銀行総裁人事の行方:藤田正美の時事日想(2/3 ページ)
金融超緩和政策を取るFRBのバーナンキ議長が2014年1月に2期8年の任期満了を迎える。ポスト・バーナンキは誰になるのか? 候補者の名前は多く上がれども、バーナンキ続投の目も捨てきれない。
イエレン氏は史上初の女性FRB議長誕生となるのか?
これで66歳のイエレン氏が先頭ランナーになったことはほぼ間違いない。史上初めての女性議長である。ただこれまでホワイトハウスがイエレン氏を候補の1人と明らかにしたことはなかった。むしろオバマ大統領は元FRB副議長であるドナルド・コーン氏も候補の1人と語ったことがある。
ドナルド・コーン氏は70歳。連邦準備銀行で40年務め、2010年に退職するまでの4年間は副議長だった。年齢が高いことは不利な条件だとされるが、連邦準備銀行に精通していることは大きな利点だとされる。ただイエレン氏と比べると、金融緩和については「タカ派」的な立場とされている。
コーン氏の他にも、FRBの元副議長のアラン・ブラインダー氏(67歳)やロジャー・ファーガソン氏(61歳)の名前が挙がっている。少し変わり種ではFRBとは関係が良いスタンリー・フィッシャー氏の名前も取りざたされている。1994年から2001年までIMF(国際通貨基金)にいた人物だ。
もう1人、オバマ大統領の信頼が厚い人物として下馬評にあがるのがティモシー・ガイトナー元財務長官。一期目のオバマ大統領の下で財務長官を務め、リーマンショックからの回復に力を尽くした。ただ金融機関への支援政策の中心的存在だったこともあって、大手金融機関への反発が強い上院では厳しい視線にさらされるかもしれない。
オバマ大統領は財務長官を辞任したガイトナー氏に対して、FRB議長の後任を持ちかけたことがあるとされるが、その時、ガイトナー氏は「それは他の人がやるべきだ」と答えたという。またある報道によれば、9月15日にサマーズ元財務長官が辞退した後、ガイトナー氏に電話したところ、同じ答えだったという。ガイトナー氏は現在、回想録を執筆中とされている。
関連記事
- 金融緩和、振り上げた拳をどう下ろす?
振り上げた拳は下ろさなければならない。それは誰しも分かっていることだが、残念なことにそれが実感として分かるのは、下ろすときになってからだ。 - ユーロ圏の銀行に経営破たんのきざし
欧州の銀行のPBRは1を割っている。割安というよりも投資家が怖くて手を出せないともいえる。日本の銀行がバブルがはじけて以来、不良債権処理が大変だったのと同じ状況だ。 - 中国経済にちらつく第2の“リーマンショック”の影
中国のシャドーバンキングによる「信用バブル」が叫ばれ、銀行間の短期金利が乱高下している。もし中国経済がこの問題で一時的であれ停滞することになると、アベノミクス効果はたちまち打ちのめされるだろう。 - 国家の市場介入は国民を豊かにするのか?
BRICsの中でインドが行き詰まりつつある。2025年には中国を逆転して世界最大の人口を抱えることになる「世界最大の民主主義国」はどこへ向かうべきなのか。 - 藤田正美の時事日想バックナンバー
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.