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JR北海道の問題はどこにあるのか。そして解決する方法はあるのか。杉山淳一の時事日想(4/6 ページ)

列車火災、脱線事故などを発端としたJR北海道の整備ミス問題は収束どころか拡大する一方だ。いま、JR北海道の鉄道を守るために誰が立ち上がるべきか。現場の職員だ。風当たりは強かろう。しかしこれを再生のチャンスとして改革を進めてほしい。

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現場の職員が安全を軽視するわけがない

 前置きが長くなってしまったが、ここでようやくJR北海道の話をする。車両の整備不良や線路の不具合放置などはどうして起きたのだろうか。以前、私は、人員削減した上に、ベテランの経験に頼ってマニュアル化を怠り、整備品質が低下したと指摘した(関連記事)。しかし、それだけではなさそうだ。このあとに報じられた情報を考慮すると、危険を察知した現場の声が、管理部門に届いていないと思われる。

 JR北海道の一連の不祥事について、現場の職員の声があまり報じられていない。これが不思議だ。これだけの騒ぎになったら、そろそろ現場からの悲鳴が漏れてきてもよさそうだ。そのあたりは私には手の届かない情報なので、きっと週刊誌が書いてくれると、電車に乗るたびに中吊り広告をチェックしているけれど、現場を取材した記事が見当たらない。もっとも、鉄道会社にとって、同業者の不祥事の記事を載せた雑誌の広告は受け入れがたいのかもしれない。

 それでは、現場の職員を代表する労働組合はどうだろう。JR北海道には大きな組合が2つある。JR北労組(JR北海道労働組合)と、JR北鉄労(北海道旅客鉄道労働組合)だ。ここのうち、JR北労組は公式Webサイトで活動を公開しているものの、今回の事故などに関する具体的な声明はない。JR北鉄労はネット上に情報を公開していないし、報道発表もない。今回の一連の出来事は、彼らにとっても重要な問題であり、その態度によって、自身の活動について社会から共感を得るチャンスではないかと思うのだが。

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