ディズニーはもう単なるブルーレイを発売しない――新形態「MovieNEX」とは何か?(3/3 ページ)
ディズニーが11月20日に発売する『モンスターズ・ユニバーシティ』はDVDやブルーレイといったメディアとスマホやタブレット端末でも視聴可能なデジタルダウンロード権が一体化している。
糸井氏「キャラクターはみんなに会いたがっている」
発表会にはコピーライターの糸井重里氏が登場し、旧知の仲である塚越氏と対談を行った。「普段はもうあまり仕事をしない」という糸井氏だが、MovieNEXについて新たなコラボレーションを行ったという。
糸井氏はディズニーの新戦略について「最初は何を言っているのか分からなかった」という。「でも早い話、キャラクターはみんなに会いたがっている。円盤の形が変わっても、ミッキーやピノキオはみんなに会いたがってるというのが本質でしょう」。
実は糸井氏、『ピノキオ』のDVDリリースでもコラボレーションを行っている。当時は、まだDVDプレイヤーが浸透していない時代だったので、ディズニーはDVDプレイヤーも一緒に販売したのだ。このときのキャッチコピー「かんたんカワイイ」が糸井氏の仕事だ。
この仕事、糸井氏は一度断っている。ただし「ピノキオだったらいいけどね」と付け加えて。その理由は「自分には子どもがいるので、この作品の中でピノキオが『お父さん!』と呼びかけるシーンに涙したことがある」からだ。
東京ディズニーシーで行われた矢沢永吉シークレットライブは伝説となった。矢沢がピノキオの主題歌「星に願いを」をカバーしたのだ。糸井氏は「あれはYプロジェクトとして極秘に行われ、誰にも知らせてなかったので、お掃除の人が一番びっくりしてた(笑)」と振り返る。
糸井氏はいま東北で「ツリーハウスプロジェクト」を進めている。塚越氏に対して「こういう場所で、キャラクターたちと出会いの場所を広げることが、キャラクターたちの夢なのではないか?」と協力を求める一面も。
塚越氏は「いままでのパッケージであればリリースする前にすべてを決めないといけなかった。MovieNEXならば、リリースしたあとでもコンテンツが追加できる。そのプロジェクトについていまやりましょう、と決めたら、発売後にもプロジェクトの進行状況について表現できるのがこの製品の面白いところ」と答えた。
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