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ダヴとオレオはなぜ“ファンづくり”がうまいのか――2社に共通する巧妙な仕掛け仕事をしたら“広告のツボ”が見えてきた(中編)(2/6 ページ)

キャンペーンなどをうまく活用して、ファンを増やしている企業がある。それはDoveを扱うユニリーバと、Oreoを扱うナビスコ。なぜこの2つの会社は、自社商品のファンを増やすことができたのか。元『広告批評』編集長の河尻亨一さんに解説してもらった。

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河尻亨一

土肥:おー、違いますね。

河尻:自分が説明した顔よりも、他人が説明した顔のほうが圧倒的にキレイ。この結果を受け、Doveは何を言いたかったのか。キャッチフレーズはこれ。「あなたは、自分が思うよりもずっと美しい」――。

土肥:なるほど。分かりやすいストーリーですね。

河尻:これは「REAL BEAUTYキャンペーン」といって、女性に本当の美しさに気づいてほしいというシリーズ広告。Doveはブラジル以外でも、同じ趣旨のキャンペーンをいろんな形で展開していて、英国ではこのような広告が流れていました。とある女性がいきなり写真を撮られるんですよ。そうすると、全員が顔を隠す。恥ずかしがっているんですよね。

 そのシーンをひたすら流したあとに、子供(女の子)にもカメラを向けるんです。でも、子供たちは嫌がりません。むしろ、喜んで撮られていく。そして最後に、こう質問するんです。「あなたは、いつからそんなに自身を失ったの?」と。

 ブラジルと英国の広告を紹介しましたが、基本的には同じことを伝えていますよね。メッセージをコロコロ変えるのではなく、何年もかけてじっくり語りかけていく。その結果、ユーザーはこのように感じていくのではないでしょうか。「Doveは親近感のあるブランドだ」と。そしてブランドのコミュニティができていくんですよね。

 重要なのはこういう広告が、社会の課題にアプローチすると同時に企業の課題も解決しようとしているところ。この2つの動画には、商品が一度も登場しません。「本当の美しさって何だろう?」というブランドの本質を投げかけているだけ。これが「ソーシャルグッド」だと思うのですが、日本語に訳すと「社会貢献」「奉仕」といった感じになるんですよね。

土肥:日本に輸入されると、なぜか違う形になっているわけですね。

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