ダヴとオレオはなぜ“ファンづくり”がうまいのか――2社に共通する巧妙な仕掛け:仕事をしたら“広告のツボ”が見えてきた(中編)(4/6 ページ)
キャンペーンなどをうまく活用して、ファンを増やしている企業がある。それはDoveを扱うユニリーバと、Oreoを扱うナビスコ。なぜこの2つの会社は、自社商品のファンを増やすことができたのか。元『広告批評』編集長の河尻亨一さんに解説してもらった。
河尻:「スーパーボウル (Super Bowl) 」ってご存じですか? アメリカンフットボールの優勝決定戦で、これには多くの人が注目していて、視聴率がものすごく高い。しかし2013年に行われたスーパーボールでは、停電が発生したんですよね。
そのとき、Oreoの専門チームは絶好の機会ととらえ、スポットライトの当たったOreoの画像をアップしたんですよ。そこには「暗闇でもダンクする(Oreoをミルクに浸す)ことはできる」というキャプションが付いていました。
土肥:停電したタイミングで、停電ネタですか。対応が速い。
河尻:このときすでにキャンペーンは終わっていたのですが、SNSチームは動いていて、スーパーボールの日もスタッフが待機していました。停電がなくても試合にちなんだネタを発信するつもりだったのでしょうね。まるで“スナイパー”ですよ(笑)。
土肥:上司に「この写真アップしてもよろしいでしょうか?」と聞いて、「ちょっと待ってくれ役員に聞いてみないと……」といった対応だととても間に合いませんね。
河尻:そんなことをしていたら、みんなが停電のことを忘れたころに、その写真をアップすることになりますよね。それでは話題にならないどころか、ドン引きですよ(笑)。
土肥:まずは「ハンコを押す」文化をなくさないといけない(笑)。
河尻:ですね。先ほど紹介したDoveのマーケッターはこのように言っていました。「いまの時代、カスタマーとコミュニケーションをとるためには、次の3つのことが必要だ。(1)本気の本物であること(2)関与してもらうこと(3)すぐにやること」だと。
土肥:日本企業の場合、(3)のところに「ハンコをなくす」を加えなくてはいけませんね(しつこい)。
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