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インタビュー

ダヴとオレオはなぜ“ファンづくり”がうまいのか――2社に共通する巧妙な仕掛け仕事をしたら“広告のツボ”が見えてきた(中編)(5/6 ページ)

キャンペーンなどをうまく活用して、ファンを増やしている企業がある。それはDoveを扱うユニリーバと、Oreoを扱うナビスコ。なぜこの2つの会社は、自社商品のファンを増やすことができたのか。元『広告批評』編集長の河尻亨一さんに解説してもらった。

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20世紀型の広告

土肥:前回、河尻さんは「いまの広告の主流は『参加型』だ」と指摘されました。DoveもOreoも参加型になりますが、その前はどんな形の広告が多かったのでしょうか。

河尻:20世紀の広告は、主に「イメージによる差別化型」でした。消費者の憧れをあおるというか、この商品を手にした日にはこんな素敵な生活が待っていますよ……という表現をするのが広告の常套手段。でもその“魔法”も徐々に効きづらくなってきました。

 企業は原点に立ち返って、自分たちは一体何者なのか。世の中にどんな価値を届けているのか。そのことをクリアしなければいけません。DoveやOreoのプロジェクトは、そこを見つけていますよね。タレントを起用して「Doveを使うとこんなにキレイになりました」とか「家族や仲間たちとOreoを食べると、こんなに盛り上がりました」といった過剰なイメージはありません。

土肥:でも日本ではタレントが出てきて、「こんなに素晴らしいことになりました! スゴいでしょう?」といった広告が多いですよね。

河尻:下の図を見ていただけますか。以前は、もともとブランドがあって、モノを買ってくれる人がいました。で、その重なる部分に“答え”があったんですよ。


従来型のイメージ

 でもいまは、ちょっと違う。ブランドにはブランドのコミュニティがある。お客さんにはお客さんのコミュニティがある。だからこの重なる部分を見つけださないと、コミュニケーションが成立しにくい。


今のイメージ

 学校で、自分に都合のいいことばかり言っているクラスメートって嫌われますよね。例えば、部活に行こうとしているときに、強引に呼び止められて「これカッコイイでしょう? どう? どう? ほしい?」とか言ってくる人は最悪ですよね。

 一方で、目標を持ってその実現に向けて行動したり、みんなのことを考えて動いたり、ジョークを言ってみんなを笑わせたり――そんな人って信頼されますよね。

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