嫌煙家が主張する「タバコ1箱700円」を阻む“霞ヶ関の論理”とは:窪田順生の時事日想(2/4 ページ)
たばこが値上がりをする。えっ、また? と思う人も多いだろうが、消費増税に合わせて値上げをする予定だ。一方、嫌煙家や厚労省は「1箱700円」を訴えているが、これはかなりハードルが高い。なぜなら“霞ヶ関の論理”が関係しているからだ。
官僚の中の官僚
確かに、気の毒な部分も多い。1996年のマイセンは1箱220円。それから消費税アップ、翌年の「たばこ特別税」施行を経て、2003年、2006年、2010年と3度にわたる値上げを繰り返し、今や約2倍。ここまでドカンと値上がりをした「嗜好品」というのもちょっとない。
いや、それはたばこというのは本人だけではなく、周囲にも健康被害をまきちらすものであって、日本も批准している「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」に基づいて、ギリギリと締めつけて、市場を縮小させなくちゃいけないウンタラカンタラ……。というのが、嫌煙家のみなさんたちが、宮崎駿監督にも叩き付けたロジックだ。しかし、これには大きな矛盾がある。こういう国内法がちゃんとあるからだ。
「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資すること」(たばこ事業法第1条)
財務省の「平成25年度政策評価実施計画」のなかにもちゃんと「たばこ・塩事業の健全な発展の促進と適切な運営の確保」とある。具体的には、たばこ葉農家、販売店のみなさんが潰れないようちゃんと配慮しながら、しっかりと税金もとれるようにJTの尻を叩く。いまだにJTの大株主なのも、たばこビジネス推進が財務省の政策だからだ。
つまり、嫌煙家のみなさんがスタジオジブリに抗議文を送ろうが、愛煙家を社会のゴミ扱いしようが、「官僚の中の官僚」がしっかりとガードをしているという構図である。だから、禁煙推進派の人々が厚労省をつきあげて訴えている「1箱700円」は、かなりハードルが高い。“霞ヶ関の論理”で言えば、財務省が厚労省に従うわけがない。
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