作家のエージェントって何? 『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』の編集者に聞く:これからの働き方、新時代のリーダー(前編)(2/6 ページ)
漫画『ドラゴン桜』などヒット作を手掛けてきた編集者がいる。その名は、佐渡島庸平さん。昨年まで講談社で働いていたが、エージェント集団「コルク」を立ち上げた。聞き慣れない「作家のエージェント」とはどんな仕事なのか。本人に直撃した。
エージェントのシステム
佐渡島:次に、エージェントのシステムを見ていただけますか。
土肥:エージェントのコルクは出版社の枠から離れて、作家のそばに。
佐渡島:私たちは作家側の立場で考える職種なんです。もしある出版社が「この企画ではダメ」と断ったら、別の出版社に企画の提案をしにいきます。出版社の意向よりも、作家の意志を重視します。
土肥:お金の流れを見ると、分かりやすいですね。編プロ/フリー編集者は労働の対価を、出版社からもらっている。でもコルクは作家からエージェントフィーをもらっている。
佐渡島:ですね。ただ、出版社側から「コルクと契約しているAさんに、ウチの雑誌で描いてほしい」という依頼があります。こうしたケースでは、その雑誌で優先的に描くことになるので「編集協力費」をいただくこともあります。
土肥:このシステムの一番のキモは、コルクが作家に対して、何をしているかではないでしょうか。図では「編集など」と書かれていますが、聞いたところによると、これまでにない試みをいろいろやっていらっしゃる。
佐渡島:三田紀房さんの漫画『インベスターZ』(モーニング/講談社)が連載されていましたが、出版社には雑誌の掲載権と出版権をお渡しして、それ以外についてはコルクが運用しています。例えば、認知度を向上させるために、Yahoo! で同時連載をしました(参照リンク)。こうした試みは、これまでになかったことですね。
このほかにも三田さんの漫画『ドラゴン桜』(モーニング/講談社)を、インドネシア人が描き、この冬にインドネシア国内で電子書籍が配信される予定です。また『クロカン』(週刊漫画ゴラク、日本文芸社)は香港でアニメ化され、香港、台湾で流れています。このようなことをコルクはお手伝いしてきました。
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