過疎の町に、企業が次々に集結するワケ:自然豊かなエリアに(4/5 ページ)
高度経済成長期以降、地方から都市部への一極集中傾向が進んだ結果、現在地方では過疎化などの問題が顕在化している。この問題を解決するために、とある街では地域活性化の動きが加速。IT企業やクリエイティブ企業が次々に集結しているのだ。
地域再生に向けて「コト・ヒト・カネ」を活性化
よく企業における経営資源として「ヒト・モノ・カネ」が挙げられるが、あわえでは「コト・ヒト・カネ」を地域資源として捉え、「文化資産(コト)」「地域産業(カネ)」「地域コミュニティ(ヒト)」をそれぞれ保護・振興しながら継承していくための事業を計画している。
現在の美波町は、18歳前後を境に郷里を離れて都市部などへ流出する傾向が高く、そのため生産年齢人口は減少の一途をたどり、高齢者が4割以上を占める状況に陥っている。そこで特に「地域コミュニティ」に力を入れ、企業誘致や起業支援、またそれに伴う移住を促進しながら都市部から若年層を呼び込むとともに住環境・職環境を整備することで、単なる人口増を狙うのではなく「年齢人口構成」の最適化を図るという。そして地域経済を域内・域外の両面から活性化させることで「自立的に持続可能な地域づくり」を実現したいとしている。(町人口は2012年6月現在、生産年齢人口・高齢者人口は2010年国勢調査)
「日本全体の人口減少が進行しているなかで、地方の人口減少を食い止めることは正直難しいと思います。従って、単にボリュームを増やすのではなく、若年層を中心に生産年齢人口を増やし、地域運営に最適な年齢人口構成にすることで、地域を再生させたいと考えています。」(吉田氏)
その成果は既に少しずつ現れ始めており、吉田氏の志に共感した経営者たちが次々と美波町への進出を決断している。その1社が、首都圏に拠点を置くデザイン会社・兵頭デザインだ。
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