倒産寸前だった「LEGO」が世界2位のおもちゃ会社に返り咲いた理由:伊吹太歩の時事日想(2/4 ページ)
LEGOといえばブロック玩具の代名詞。子供のころに遊んだ読者も多いことだろう。だが、同社がほんの数年前に倒産目前まで追い込まれていたことは知られていない。そして、近年復活した理由も……。
中国で「教育用LEGO」が爆発的に売れた
2013年上半期に、LEGOの売り上げが上昇した大きな理由の1つには、中国の存在があった。中国での売り上げは実に70%も伸びた。いつバブルが崩壊してもおかしくないと言われ続けていながらも、中国はいまだに消費市場としての規模が大きい。おもちゃ販売でも現在、世界で2番目に大きな市場だ。
ちなみにアジア太平洋地域は、2014年には北米地域を抜いて、世界最大のおもちゃ市場になると予測されており、世界のおもちゃメーカーはアジアを制するために力を入れている。
LEGOが中国で成功したのには「教育版LEGO」の存在が大きい。中国では徹底した暗記など詰め込み型の教育が行われ、そこから自主性や創造性は生まれにくいといわれている。そこに自主性と想像力を付けてくれるLEGOの教育ツールがしっくりハマった。中国では、過去5年でLEGOの教育関連おもちゃの売り上げが倍以上になっている。
ではその教育ツールとはどんなものか。「教育版LEGO」と言われる「マインドストーム」というおもちゃ教材だ。
マインドストームは、LEGOと米MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究から生まれたロボット教材だ。LEGOによれば「アナログのレゴブロックとコンピュータを内蔵したデジタルのパーツがセットになり、生徒たちの主体的な学びを育成する21世紀型の教育ツール」ということらしい。
PCにつなげてプログラミングをしながら、LEGOでできたロボットを組み立てていく。1人でもチームでもいろいろと思考を巡らせながら完成を目指す。といっても、プログラムアイコンをドラッグ&ドロップするだけでプログラミングできるなど、10歳の子供でも扱えるように設計されており、子供の自主的な学習能力を育てるのにも役立つ。
現在、日本を含む世界中で小学校から高校の間で導入が広がり、過去15年で世界60カ国の5万以上の教育現場で導入された。日本でも小中学校はもちろんのこと、東京大学や京都大学、明治大学など6000校で採用されているというのだから、かなりいろいろなところで使われているといえる。
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