「もうダメだ!」と思ったとき、誰が助けてくれた? ユーグレナの社長に聞く:仕事をしたら“金言”を聞くことができた(3)(2/3 ページ)
体長0.1ミリ以下で、藻の一種である単細胞生物。人間の目には見えないミドリムシを増やすことに成功したユーグレナの出雲充社長は、創業当時どんなことを考えていたのだろうか。
会社に仲間がいる
土肥: 「ミドリムシ」と聞くと、「青虫じゃないの?」と思われる人も多いかもしれませんが、そうではない。ミドリムシにはたくさんの栄養が詰まっていて、うまく利用すれば、地球温暖化や食糧問題などが解決できるかもしれないそうですね。
出雲社長はそのミドリムシを増やすことに成功され、このように思われた。「この世に意味がなくて、くだらないモノなんてない」と。
出雲: 「くだらないモノなんてない」と言うと、ものすごい意思の強い人間……と思われるかもしれませんが、実は全く違うんですよ。夏休みの宿題は、始業式の日の朝にやっているタイプ。明日からダイエットしようと決意しても、次の日のランチでは大盛りを注文してしまう。私の意思は“ふにゃふにゃ”なんですよね。
土肥: そんなに謙遜しないでくださいよ。ミドリムシを増やすことに何度も失敗されましたが、2012年12月には上場されたわけですから。
出雲: 会社が上場できたのも、私の力ではありません。私の意思が強かったのではなくて、同じ夢・同じ目標を持った仲間が、私以外に2人いたことが大きい。何度も大きな壁にぶちあたってきましたが、もし仲間の2人が「もう止めようよ」と言っていたら、あきらめていたでしょうね。
ただ、3人同時に「もう止めようよ」といったシチュエーションはありませんでした。3人がそれぞれ違うタイミングで「もうダメだ。ミドリムシを増やすなんて無理だと思う」と弱音を吐いていました。誰かがそう言うと、他の2人が「ここまでやったんだからもうちょっとがんばろうよ」といった話になる。で、弱音を吐いていた人間は「がんばろう」となるわけです。
でも1カ月くらいすると、今度は別の人間が「もうダメ。ギブアップ」とか言うんですよ。そうすると、先月弱音を吐いていた人間が「お前さ、1カ月前、オレになんて言ったんだよ」といった話になる。そんな感じで、3人の心が同時に折れることはなかったんですね。会社に仲間がいる――これが唯一の心の支えになりましたね。
ベンチャー企業であろうが、大企業であろうが、新事業を立ち上げようとしているときって大変なことが必ずやってきます。そうしたときに、私は「仕事だから修行のつもりでやれ」といった考えは持っていません。もうそんな時代ではないと思っているんですよね。自分以外に同じ夢にのっかってくれる仲間がいる。できれば自分以外に2人……つまり合計3人いればなんとかなるのではないかと思っています。
なにもないところから3人が同じ夢を目指すということは、世の中に必要とされている仕事だと思うんですよ。だから、それは「くだらない仕事」だと思いません。
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