媚びないフェラーリが教えてくれる「勝ち残る法則」:史上最高のハイパーカーも完売(3/4 ページ)
欧州の債務危機に影響を受けた国で、新車の販売台数が減少している。そんな状況でも史上最高の業績を上げ、注目が集まっている企業がある。イタリアが誇るフェラーリ社だ。注目されるのは業績ではなく……。
フェラーリが力を入れる2つのビジネス
生産台数を減らし、コンパクトカーやエコカーも生産するつもりがない。では、どうやってフェラーリ社は業績を保てるのか?
その答えは、フェラーリがこれから力を注ごうとしている2つのビジネスにある。ひとつは、ライセンス商品などを含むブランド関連ビジネス。もうひとつは、エンジンの供給ビジネスだ。
まずは、フェラーリのブランド力を最大限に活用したのがブランド関連ビジネスだ。2012年、ブランド関連商品の売り上げは5000万ユーロ(71億円)以上に達し、前年比40%増の営業利益をもたらした。世界50カ所に厳選したフェラーリ・ストアでは、ブランドの世界観を表現するため新しいインテリアデザインを取り入れ、販売も好調だ。ライセンスビジネスも前年比22%増と急成長している。リアルショップが近くになくても、オンラインショップでどこからでも購入できる。Eコマースは、前年比31%増の700万ユーロ(10億円)強になるなど勢いが止まらない。
さらにエンジンの供給ビジネスにも本腰を入れている。フェラーリ社はイタリアの高級スポーツカーメーカーのマセラッティにエンジンを供給しているが、2013年、投資額400億ユーロ(5兆7014億円)の新設工場を稼働させ、マセラッティに供給するV6エンジンの製造を開始させた。最高品質のプロダクトを世に送り出しているフェラーリだからこそ、そのブランド力が別の形で生きてくるのだ。しかも、自社のブランドイメージはそのままに、確実に生産力を上げて利益を確保しているところがスマートなビジネススタイルになっている。
そして今後数年で、新たな設備投資を行うことも計画している。経済的に停滞するイタリアで大量雇用を生み、同時に高い利益率が期待されるビジネスとして投資家も納得できるだろう。
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